第601話

 結局ロイドの実家が襲撃されたという話題だけで日暮れ時を迎えてしまった俺達は晩飯までご馳走になるのは流石にどうかと思ったので、少し早めに依頼を切り上げて宿屋に戻る前にイベントに関する話し合いをしていた。


「ふむ、改めて見ると50ポイントを達成する為にはそれなりに長い道のりを歩んで行く必要があるんだね。」


「あぁ、買い物をしたり飯を食ったりこのイベントの為に作られたっていう遊技場を訪れたり……コレを楽しむだけだったら全然良いんだけど、アシェンさんは最終的にポイントを集めきってどんな事があるのか調べて欲しいんですよね?」


「はい。大変だと思いますけど、出来る事ならばお願いしたいです。」


「……分かりました。ってなると、それなりに計画を動かないとダメだろうなぁ。」


「ふふっ、そうだね。日ごとにポイントを貰えるお店も変わるみたいだし、それとは別にアシェンさんから初めにされている依頼の件もあるからね。」


「うふふ、そうですね。皆さんの思い出話は非常に興味深いですから、そちらの方も引き続きお願いしたいと思っています。ですが……」


「イベントの事も同時にお願いするとなると、明日以降の予定は少しだけ変更をする必要がありますね。」


「うん、僕としても母さんの依頼のせいで九条さんとの思い出作りを邪魔されたくは無いからその辺りはシッカリ決めておかないとね。」


「あらあら、イリスさんったら酷いですねぇ。そんな風に言われてしまうと悲しくて泣いてしまいそうです。」


「うふふ、笑顔でそんな事を言われても説得力が無いよ母さん。ね、九条さん。」


「いや、そこで俺に振られても困るんだが……って、親子のそういうやり取りは後でしてもらうとして、今は明日からの行動についてだ。」


 微笑みかけてきたイリスの言葉を流しながら斡旋所で貰った地図を手にした俺は、メイン所になるであろう大通りの辺りを見せる様にしてテーブルの上に広げた。


「えっと……確か、明日は王都の南側にある広場でイリスさんと集合ですよね。」


「おう、それから昼頃になるまでポイントが稼げる店を巡って行くって感じだな。」


「そして今日と同じくこちらで昼食をご馳走になった後、思い出を語るんだね。」


「うん。依頼が早く終わったらイベントをやる。」


「うふふ、何だかこうして話をしているだけでワクワクしてきました……早く明日になって九条さんと色々な事を経験してみたいです。」


「……イリス、頼むから2人の前でそういう事を言わない様に……!」


「あ、あはは……皆さん、明日はイリスさんの事をどうかお願いします。」


「は、はい……分かりました……」


 ルバートさん視線を交わして気まずい空気を感じながら何度か小さいお辞儀を繰り返しあった後、別れの挨拶を告げてその場を後にした俺達はイベントの下見も兼ねて晩飯を食べる為に大通りの方へと向かって行くのだった。

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