第458話
内装や置かれている家具、そして用意されていた食材や茶葉に至るどれもが高級品だった事が判明して王族の凄さってものを改めて実感していた俺は家の中を探検して興奮気味のマホが淹れてくれた紅茶を飲みながらため息を零すのだった……
「ったく、あのお姫様め……どう考えても一端の冒険者に与える家じゃねぇだろ……それに俺達のギルドは何人だと思ってんだ?4人で過ごすには広すぎなんだぞ……」
「ふふっ、これならレミとユキも連れて来れば良かったな。」
「えぇ、この広さなら後4人は一緒に寝泊まり出来ますもんね。」
「うん、それにどの部屋も広くて快適。」
「はい、それにお風呂や洗面所も凄かったですよね!ご主人様、私達が暮らしているお家もこんな風にしましょう!って、それじゃあ家から出なくなっちゃいますね!」
「……あのな、さっきロイドが言ってた話を聞いてなかったのかよ?この家、建てるのに一千万Gぐらい掛かるって言ってただろうが。そんな金、何処にあるんだ?」
「うーん、そこはほら!頑張ってお金を稼ぎましょうよ!ね?」
「ね?じゃねぇよ……冗談ばっか言ってないでそろそろ昼飯を作ったらどうなんだ?今日はお前が当番の日だろ。俺はもう腹がペコペコだ……色々と驚きすぎてな……」
「あっ、そうなんですね!では、すぐに用意するので少しだけ待っていて下さい!」
「はいよ~……ヤレヤレ、凄い興奮してるなマホの奴……」
「あぁ、けれどこれだけの物を見せられたら仕方が無いんじゃないかな。それに……九条さんも口では何だかんだ言いつつお姫様に感謝しているんじゃないのかい。」
「九条さんは素直じゃない。」
「う、うっさいわい!……とりあえず、与えられた物に見合う分ぐらいはクエストを頑張るつもりではいるよ……そうじゃねぇと、お姫様に何を言われるか分かったもんじゃねぇからな……!下手をすりゃまた奉仕義務が課されちまうわ……」
「おぉ!もしそんな事になったら、ご主人様の執事としての能力がグンッと上がってくれそうですね!」
「ふむ、そうなったら私の実家で雇ってみようかな。」
「ダメ、ウチで働いてもらう。」
「そうですよ!掃除、洗濯、料理、全部を完璧にこなしてもらいましょう!報酬は、私達と一緒にお出掛けする事です!」
「なるほど、それは良さそうだね。」
「私達も楽しい。九条さんも楽しい。」
「それじゃあ決まりですね!ご主人様、執事として頑張って来て下さい!」
「おいコラッ!黙って聞いてりゃ何を勝手に言ってやがるんだ!つーか、奉仕義務を課されるって事はクエストを失敗するって事だからな!そこん所分かってんのか!」
「あっ、そう言えばそうでした!くぅ~この作戦は失敗ですね……」
「ふむ、良い案だと思ったんだけどな……」
「残念……」
「……アホなのか、お前達は……」
どうせならお前達がメイドとしての技術を身につけて俺に奉仕をしてくれよな……なんて事を一瞬だけ考えたりもしたんだが、それを言ったらこいつ等の場合はマジでやりかねないので俺はグッと言葉を飲み込んで深々とため息を零すのだった。
……そんな他愛もないやり取りをしつつ1日を過ごして夜を迎えた俺達は自分達で決めた寝室に入っていき、ビビるぐらいフカフカのベッドに横になるとほんの数秒で眠りについていってしまうのだった。
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