第406話
ガドルさんとサラさんが暮らす家で昼食をご馳走になったりソフィの幼い頃の話を聞いたりなんだしているとあっと言う間に陽が暮れてきたので、俺達は2人に事情を話してこれから一緒に晩飯でもどうですかと誘ってみたんだが……
「いえ、今回は遠慮しておきます。部外者がお邪魔する訳にはいきませんので。」
「……皆、歓迎してくれると思うよ。」
「えぇ、皆さん優しい人達ばかりだものね。でも今回は、旅行をしている方達だけで楽しんでいらっしゃい。私達はまた今度、機会があればご一緒させてもらうから。」
「九条さん、お誘い頂いたのに申し訳ありません。」
「あぁいや、こちらこそ急に誘ったりしてすみませんでした。ではまた、トリアルに来た際にでも一緒に食事でも。」
「はい、その時は是非。」
「……待ってるね。」
「うふふ、私も楽しみに思いながら待っているわ。それじゃあソフィちゃん、大切な仲間である皆さんとこれからも仲良くね。特に、九条さんからは目を離さい様に。」
「うん、任せて。」
「……九条さん、分かっているとは思いますが……」
「はいはい!言われなくても分かってますからそうやって睨まないで下さい!マジでガドルさんの視線は寿命が減るんじゃないかと思うぐらい怖いんですからね!?」
「……すみません、ですがご理解頂けているのなら何よりです。」
ガドルさんはそう言って目つきを戻してくれたんだが……この世界の父親って娘を溺愛しすぎじゃないんですかね?それともこれが普通なのか?マジで分からん……!と、とりあえずここは逃げるが勝ちって事で!
「え、えっと!それじゃあ俺達はこれで失礼します!ガドルさん、サラさん、本日は色々とお世話になりました!またお会い出来る日を楽しみにしています!」
「あの、お昼ご飯とっても美味しかったです。本当にありがとうございました。」
「まま、ぱぱ、元気でね。怪我には気を付けて。」
「うふふ、ソフィちゃんもね。」
「困った時は何時でも訪ねて来ると良い。」
「うん、そうさせてもらう。それじゃあ、またね。」
「えぇ、またね。」
……そんなこんなで2人に見送られながらその場を離れた俺達は、宿に向かう為にガヤガヤと賑わう王都の大通りを並んで歩いていた。
「ふぅ……ソフィ、ガドルさんとサラさんに会えて良かったな。」
「うん、嬉しかった。でもゴメン、王都を見て回れなかった。」
「いえいえ、謝る必要なんて全然無いですよ。とても楽しい時間を過ごせましたし、ソフィさんの喜ぶ顔を見れましたから。」
「……ありがとう。」
「ふふっ、どういたしまして。」
うんうん、仲良き事は美しきかな!……なんて思いながら美少女同士のやり取りを微笑ましく見守っていると、ソフィが急にこっちを見てきて……?
「……九条さん、後でマホとロイドとお説教するから覚悟しておいて。」
「あっ……い、いや!ちょっと待ってくれ!ほら、こんなに良い雰囲気なのにソレをぶち壊すのはどうかと思うんだよ!だからさ、今回ぐらいは見逃してくれよ!なっ?頼む!この通り!特にマホには黙っていて下さい!お願いします!」
「ダメ。絶対に言う。」
「ちょまっ!?って、何で走るんだ!?オイ!ソフィ!ソフィさああああん!!!」
「あー……えっと、九条さん……頑張って……下さいね?」
「……ライルさん……俺は今……猛烈に逃げ出したい気分だよ……!」
何て言ってもどうする事も出来ないので憂鬱になりながら宿に戻って来た俺は……満面の笑みを浮かべながら怒りのオーラが溢れまくっているマホに出迎えられて……夜が長くなりそうだと……目の前が真っ暗になるのだった……!
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