第395話
巨大な門の下を通り抜けて噴水近くに停まった馬車からエリオさんとレミが降りた後に続いて俺も外に出て行くと、屋敷の方から歩いて来る皆の姿を見つけてっ!?
「おじさーん!!」
「ぐふうっ!?お、おまっ……いきなりタックルはねぇだろ……!」
「えへへ!すみません!嬉しくなっちゃって我慢する事が出来ませんでした!それにレミさんもお元気になったみたいで本当に良かったです!」
「うむ、わしもマホに会えて嬉しく思っておるぞ。」
「えへへ~!」
「ったく、なんつーだらしない顔だ……ってちょっと待てよお前等、どうして両腕を広げながらこっちにジリジリと近寄って来てるんだ!?」
「ふふっ、そんなの決まっているじゃないか。そうだろ、ソフィ。」
「うん、マホばっかりズルい。私達にもハグをするべき。」
「い、いやいや!流石にそれはマズいだろが!?ほら!隣に居るエリオさんだって、複雑そうな表情でこっちを見てるぞ!だから止めた方が良いって!なっ!」
「……父さん?」
「……私は何も見ていない。」
「エリオさんっ!?」
「さぁ、これで問題は無くなったね。それじゃあ……」
「待て待て待て!マホとお前達とじゃ色々と意味が違っ!?」
「ずっと会いたかったよ……九条さん。」
「退院、おめでとう。」
「ロ、ロイドさん!?耳元で吐息交じりに囁くのはマジでやめてくれませんかね!?それと頼むからソフィは思いっきり抱き着かないでくれ!色々な意味でヤバいから!ようやく回復した俺をまた病院に送り返したいんですか!?って、レミ!?」
「ふっ、逃げようとしたってそうはいかんぞ!ほれ、ぎゅー!」
「おまっ!そんな事されたらマジで逃げ場が……!う、うぐぅ……!?」
「あらあら、うふふふ。九条さんったらモテモテで大変そうね。」
「えぇ、同じ男として羨ましい限りです。」
「……私としては、何とも言えない心境だがな。」
美少女達に前後左右を囲まれながら抱き着かれて心臓が張り裂けそうになりながらどうにかこうにかご褒美みたいな拷問を耐えきった俺は、激しく高鳴っている鼓動を落ち着かせながら改めて並び立っているエリオさん達の方に向き直った。
「えっと、今回は色々とお世話になりました。本当にありがとうございます。」
「いえいえ、私達は助けて頂いたお礼に当然の事をしたまでですよ。と言うよりも、この程度の事では感謝の気持ちとしてまだまだ足りてないと思いますので。」
「そ、そんな!これ以上は流石にこっちの方が貰い過ぎになりますよ!」
「ははっ、そんな事はありませんよ。」
「そうじゃぞ九条、感謝の気持ちをきちんと受け取るのも礼儀というものじゃ。」
「……お前はどう言う立場でその台詞を言ってんだ?」
「まぁまぁ、ここはレミの言う通りにしてくれないかな。それに私としても2人にはお礼をしておきたいからね。」
「おぉ、それは何とも楽しみじゃな!」
「うーん、俺としては軽く流してくれた方が楽なんだけどなぁ……これまでの人生で感謝とかされた記憶があんまりないから、対応の仕方がいまいち分かんないし……」
「おじさん、それはそれでどうかと思いますよ……」
「そう言われてもなぁ……ってそうだエリオさん、俺とレミに伝えたい事があるって病院で言ってませんでしたっけ?」
「あぁ、確かにそう言いましたね。ですがソレをお伝えする前に時間も時間ですので昼食としませんか?実は九条さんとレミさんの退院祝いとしてお食事をご用意させて頂いていますので。」
「なにっ!それは本当か!?九条!エリオから話を聞くのは後でじゃ!今は久しぶりとなる豪勢な食事を味わうとしようではないか!病院食も美味かったが、やはり少し物足りなかったからのう!」
「……その割にはバクバク食いまくってたって噂があった気が……まぁ良いか、俺も腹が減ってきたし……すみませんが、お言葉に甘えさせてもらいますね。」
「えぇ、是非ともそうして下さい。」
そう言ってくれたエリオさんと共に屋敷の中に足を踏み入れた俺は、さっきと同じ感じでマホ達に囲われて心臓をバクバクさせながら食堂に向かって行き用意されてた豪勢な料理を食べる事にするのだった。
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