第380話
リーパー・アレクシスが訪ねて来てから2日後の夜、見合いを翌日に控えた俺達は自宅で最後の確認作業を行っていた。
「えっと、俺達が見合いに同席する事に関しては合意を得てあるんだよな。」
「あぁ、その他にも見合いをする場所は私の実家であるという事や絶対に1人で来て欲しいという事に関しても合意を得ているよ。」
「そうだったな……ふぅ……」
「ご主人様、難しい顔をしてどうかしたんですか?何か気掛かりな事でも?」
「いや、何て言うかさ……あからさまに向こうが不利になる条件を出したってのに、その全てを受け入れますって即答してきた事がどうにもな……」
せめて1人ぐらい護衛の者を連れて行ってもいいでしょうかとか、会場に関してはこちらの方で決めさせて欲しいとか色々と言ってくるかと思ってたんだが……そんな提案1つせず、手紙を送った次の日には了承するって返事を寄こしやがったし……
「うーん……もしかして本当にロイドさんの事が大好きで、これまでの行いはそんな想いが暴走してしまった結果とかって事もあり得るんでしょうか?」
「……もしそうだとしても、見合いに応じなけりゃって脅すのはやり過ぎだろうが。それにアイツと直接対峙して感じたんだが、そんな感情は微塵も無いと思うぞ。」
「ふふっ、九条さんがそう断言するならば信じる事にしよう。それに彼が私の大切な家族や友人を傷つける可能性がある以上、油断してはいられないからね。」
「あぁ、そうしておいてくれ。一応、見合いの席って事だから俺達がお前のすぐ傍で護るって訳にもいかないし……それを理由にして悪評を広められちまうって可能性も捨てきれないからな……エリオさんやカレンさんに迷惑は掛けられん。」
「そうですね!きちんとリーパー・アレクシスさんとお見合いをして、その上で結婚する気はありませんって伝える事が大事なんですから!」
「振られる事が前提のお見合い。」
「……そう言われると、ちょっとだけ奴に同情しないでもない。」
どれだけ積極的にアプローチをかましても断られる事が決まってるんだもんな……もし俺がそんな目に遭ったりしたら……一生モノのトラウマになってふとした瞬間に身悶えしたくなる衝動に襲われて………うぐぅっ!
「おや、いきなり自分の体を抱きしめたりしてどうしたんだい九条さん。」
「い、いや……ちょっと昔の事を思い出して………き、気にしないでくれ………!」
ちょっとボディータッチが多めの女の子だからってついつい好きになってさぁ……そんで調子に乗って………ガハッ!ダ、ダメだ!これ以上は思い出しちゃいけない!誰も居ないであろう道のど真ん中であんな……恥ずかしい真似をした黒歴史をっ!!
「はぁ……ご主人様、何となく察しは付きますが今は明日の事に集中して下さいね。ロイドさんのお見合いまでもう時間が無いんですから。」
「うぅ……い、言われなくても分かってるよ……でもさぁ、これ以上は別に話し合う事なんて無いんじゃないか?他にあるとすれば……明日の集合時間か?」
「……確か、朝の8時頃にロイドの実家に行く予定。」
「あぁ、リーパー・アレクシスが来るのは朝の10時頃だからその前に見合いの場に相応しい格好に着替えておく必要があるからね。私も皆も。」
「そういやそうだったか……でも、相応しい格好てどんなんだ?当日までのお楽しみって言われて詳しく教えてもらえなかったんだが……」
「ふふっ、それは明日になれば分かると思うよ。さてと、それじゃあもう良い時間になったから寝るとしようか。集合時間に遅れる訳にはいかないからね。」
「はぁ……仕方ない、ちゃっちゃと寝るとしますかねぇ……」
ニコッと微笑みかけてきたロイドに呆れながらそう返事をした後、俺達はそれぞれ自室に戻って行くと翌日の見合いに備えて早めに就寝する事にするのだった……
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