第232話
「い、いや!昨夜はちょっと夜風に当たって気分転換をしようと思ったんだよ!え、武器?そ、それは……ほら!体を動かせばよく眠れるって言うだろ!」
……そんな言い訳を必死に繰り返しながらマホの問いかけから逃げ続けていると、事情聴取を終わらせたロイド、リリアさん、ライルさんが部屋に戻って来た。
まさか俺達がやった事はバレちまったのか?!……そんな不安を抱きながら3人の方を見てみると、彼女達は呆れた様な表情を浮かべ知り得た情報の報告を始めた。
早朝、目を覚ました村長が自宅の郵便受けを覗いて見ると差出人不明の手紙が1通入っていたらしい………不思議に思ってその中の手紙を読んでみると、そこには畑を荒らしていた犯人を森の奥に拘束してあると書かれていたそうだ。
村長さんは半信半疑になりながらその事をエリオさん達に報告して警備隊の方達と森に行ってみたそうだ……そうすると、拘束されて檻の中に入れられている野盗達を発見したって事なんだそうだ。
その対応に追われエリオさん達は朝から大忙しだった訳なんだが……彼らは部屋に戻って来た直後、俺と同じ様に家族に拘束されてある質問をされていたそうだ。
その内容とは勿論、昨夜は部屋を抜け出して何をしていたのかって事だ……心臓をバクバクさせながらどう答えたのか聞いてみると、父親3人は寝る前にちょっと運動をして来ただけだと口を揃えて言ったそうだ………俺も含めてな。
そっからはもうその言葉に便乗しまくったね!だって目の前に逃げ道が用意されているのにそれを使わない手は無いだろう!………で、最終的には旅行が続行になったのかエリオさん達に聞きに行こうって話を無理やり
その後は流れで朝飯を食べる事になってそこで少しだけ出発時間は遅れるが旅行を続けられる事を教えられ、捕まった野盗達は警護隊の方達に護送されクアウォートに向かったそうだ。
そんなこんなで色々と大変な思いをしながら何とか無事に村を後にする事が出来た俺達ではあったんだが………
「いやぁ、それにしても誰なんでしょうかね!畑を荒らしていた犯人達を捕まえて、拘束して檻の中に閉じ込めたのは!」
「村長さんもそれが気になって野盗達に尋ねてみたらしいんだが、何故か怯えていて誰一人として口を割る者は居なかったそうだよ。」
「……気になる。」
「うふふ、その方には是非ともお礼を申し上げたいですね。貴方達のおかげで旅行を続ける事が出来ましたと……エリオさんと九条さんもそうは思いませんか?」
「あぁ、確かに礼を言うべきだろうな。」
「そ、そうですね!ありがとうございますと、きちんと伝えるべきでしょうね!」
はっはっは、こりゃまいったな!何とか誤魔化して逃げ切ったと思ってたんだが、やっぱ現実はそう甘くはないね!ソフィ以外の視線が物凄く突き刺さって来るぜ!
だけど俺は負けないぞ!例え胃がキリキリしてきたとしても、目が泳いでいるのを実感しているとしても、冷や汗が額から流れ出しているのが分かっていたとしても!
「さてと、それじゃあお話の続きをしましょうか………おじさん。」
「本当に父さん達と運動をしていただけなのか……じっくりと聞かせて貰おうか。」
「クアウォートまでは数時間は掛かりますからね……正直に答えた方が良かったと、もう一度だけ教えて差し上げますね。」
「や、やだなぁ!俺達は正直に昨日の事を話しましたよ!ね、エリオさん!」
「………うむ、その通りだな。」
「エリオさん?どうして俺から目を逸らすんですか?ねぇ、ちょっと?」
カレンさんの言葉を聞いてから瞳に覇気が無くなったエリオさんは、何かを諦めるかの様にうつ向いてしまっていた!?
いやいやもうちょい頑張ってくださいよ!エリオさんの心が折れたら自動的に俺も道連れになっちまうんですから!!
……それからさほど時間も掛からない内に真実を知られてしまった俺達は、前後の馬車に乗ってるディオスさんとファーレスさんに心の中で謝りながらマホとロイドとカレンさんからの説教を受ける事になるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます