第189話
「えぇ?!イ、イリスさんって男の方だったんですか!?」
「おやおや、これは驚きだね。」
「……ビックリした。」
「うふふ、驚かせてすみません。」
風呂を出てからしばらくしてマホとイリスが作ってくれた菓子が並べられた食卓を全員で囲ったその時、俺はイリスの了承を得てさっき教えられた事実を知ってたのか皆に尋ねてみたんだが………
「どうやらイリスが男だって事に、気づいてた奴はいなかったみたいだな……」
「そうだね。言動や喋り方もそうなんだが、これまで着ていた服も全て女性物だったからね。」
「ですよね……あの、どうしてイリスさんは女性物の服を着ているんですか?」
「うふふ、単純に可愛い服が好きだからですよ。」
「な、なるほど…………なるほど?」
ざっくりとしたイリスの言い分を聞いて少しだけ混乱しそうになっていると、隣に座ってたマホが恐る恐るといった感じでゆっくり手を上げ始めた。
「あ、あの…もう1つイリスさんに聞きたい事があるんですけど……」
「はい、どうかしましたか?」
「えっとですね……イリスさんの目的ってその……」
「えぇ、僕のモノにする事ですよ。」
「で、ですよね………でもあの、イリスさんって男の方じゃないですか。」
「はい、そうですね。」
「……単刀直入に聞きますけど、イリスさんはおじさんの事が好きなんですか?」
「お、おい!その質問は急すぎる」
「はい、そうですよ。」
「「…………へ?」」
「確かに僕は九条さんの事が好きですが、それがどうかしましたか?」
「……そ、それはその……恋愛感情的な好きですか?」
「うふふ、それはご想像にお任せします。」
「ご、ご想像って……」
「僕は九条さんが望むのなら、そういう関係になっても構いませんよ。」
「な、ばっ?!」
ねっとりとした視線を向けながらそう告げたイリスを見て動揺していると、怒った表情を浮かべたマホが俺の太ももを思いっきり抓ってきた!?
「いってぇな!何すんだよ!?」
「ふんっ!だらしなく鼻の下を伸ばしてるからです!」
「伸ばしてねぇわ!ちょっと動揺しただけだっての!って言うか、イリスもそう言う事を簡単に口に出すんじゃない!ビックリするだろうが!」
「すみません。でも、僕は本心で言っていますよ。」
「だから!」
「それとも……男の僕とはそういう関係になれませんか?」
「アホか!イリスが男か女かなんてそんな事はどうでも良いんだよ!俺はもっと自分を大切にしろって言ってんだ!分かったか!」
………あれ?イリスがこっちを見て動かなくなっちまったぞ?それにマホとロイドとソフィも何故か黙っちまったし……え、何か変な事を言ったか?ん?
「………うふふ、うふふ………うふふふふふ………」
「イ、イリス?何で急に笑い出したんだ?」
「あぁ……やっぱり九条さんは僕が見込んだ通りの人でしたぁ……」
「え、え?」
「おじさん……本当にバカなんですか……!」
「九条さん、今のは流石にマズいんじゃないかな。」
「迂闊。」
「え、え、え?何が?」
「九条さん……」
「な、何だよ?」
「やっぱり僕……九条さんを絶対に手に入れたいですぅ……!」
「へっ?!」
思わず裏返った声を出しながら見つめる先には、浅い深呼吸を繰り返しながら俺をジットリと見つめるイリスの姿が……!?って、いきなりどうしてこうなった!?
と、とりあえずこの場から逃げる為に話題を変えないと!
「あ、あー!そう言えばこの後は皆で街に買い物に行くんだったよな!ほら!急いで菓子と紅茶を食べて支度をしようぜ!な、な!」
それから食卓に並んでいた菓子を一気に食べて紅茶で流し込んだ俺は急いで身支度を整えると、皆と一緒に街に出掛けていくのだった!……ってか、イリス以外の3人の目がバカを見る感じの物だったんだけど何でだ?!俺は何かミスったのか?!全然心当たりが無いんですけれど!?
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