第144話
心の中のニヤニヤが収まらないまま馬車に乗り込み昨日に引き続き馬車に揺られる事になった俺達は、大通りを真っすぐ進んだ先に存在してた巨大な城門を通り過ぎた辺りで降ろされる事になるのだった。
「うわっ、やっぱりこうして間近で見ると城って迫力が凄いんだなぁ……」
「あぁ……圧倒されるしかないわこりゃ……」
ゲームとかでは何度も見た事があるけど、実際に見上げてみたらあまりのデカさに驚きしか出て来ねぇな……
それに中庭の広さもロイドの実家の倍ぐらいはありそうだし、警備兵の数もかなり多い……正直、ここまでスケールが破格だとスゲェって感情以外は湧かんわ。
「皆さん!これより国王陛下達と面会してもらう事になっていますが、その前に身体検査を行わせて頂きます!その際、危険物等が発見された場合は身柄を一時拘束する可能性もあります!……始めろ。」
有無を言わさぬ迫力で隊長さんがそう指示を出した直後、周囲に立ってた警備兵の人達が一斉に頷きこっちに近付いて来た。
それから数分後、特に問題も無く身体検査が終わった事を部下の人から報告された隊長さんは眼鏡をクイっと押し上げてから俺達の方に視線を向けた。
「ご協力、感謝します!それではこれより国王陛下達との面会となりますので、列となって私の後について来て下さい。」
サッと背を向けて巨大な城門の方に歩き始めた隊長さんの後に続いてイケメン達と真っすぐ伸びる石造りの階段を上がり城内に足を踏み入れる事になったんだが……
「……すっげぇ……」
「……これが……城……」
ロイドの実家の数倍は広さがありそうな玄関ホールを目の当たりにして荘厳な空気みたいなものを痛い程に肌で感じた俺は、思わず足が止まってしまっていた……
「やべぇ……なんつーか、やべぇ……く、九条のおっさん……俺、何だか……」
「……分かる……気持ちはよく分かる……とりあえずは大人しくしとこう……ここで変に目を付けられたらマジでヤバいからな……」
「だ、だな……」
ヒソヒソと小声で喋りながら紅い絨毯の敷かれてる入り組んだ迷路みたいな廊下を進んで階段を2回上がった先にあったのは、城門よりも少しだけ小さいけどやっぱりそれなりにデカくて凝った装飾のされた扉で……
「……九条のおっさん……あの扉の向こうに……居るんだよな……」
「あぁ……まず、間違いなくな……」
「だよな……緊張してきぜ……一体どんな人達なんだろうな……」
「……さぁな、会ってみなくちゃ分からん……」
「ははっ、そりゃそうか……よしっ、気合を入れるとすっか……!」
「皆さん!この先に国王陛下達がいらっしゃいますので、くれぐれも失礼に無い様にお願い致します。」
先頭を歩いていた隊長さんが足を止めて振り返り俺達に向かってそう告げた直後、彼は扉の前に立っていた警備兵達に目配せをした。
小さく頷き返した彼らは両開きの巨大な扉の手を掛けて押し開いて行くと、俺達の目の前に恐らくは玉座と呼ばれる場所が現れるのだった……!
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