第131話 「130話」

進んでも敵がいないのを見て、ゴリさんは顎をさすりながら何やら考えごとをしている。

ジョリジョリいっておる。ダンジョン潜って結構経つし、髭も結構伸びてるんだろうね。


考えていたのは少しの間だった。

ゴリさんが俺の方へ向くと声を掛ける。


「ウッド、索敵頼む」


「うっす」


索敵は基本だよねー。

と言うわけで根っこ伸ばしましょうね。

とりあえず半径10kmも探ればいいかな?


まあたぶん見つかるでしょう。




なんて気楽に考えていたのだけど。

なっかなか見つからない!


もう円内全部調べ終わっちゃうぞー……。


「…………居ない。 いな……居た」


と思ったら居たし。

最後に見たところにいるとかひどい。がっでむ。


「あっちの方向に10kmぐらい行ったあたりに居ました。 数は50ぐらいっすかね」


「よし、行くか」


数は結構いた。

と言ってもこの人数であたれば別に問題ない数ではある。




「ぉぉぉおおお、多い! まじで多い!」


「だから言ったじゃねーか! むっちゃいたってよ!」


ごめん、むっちゃ多かった。



いや……いやいや、別に嘘ついたわけじゃなくてですね?

草原をちょいちょい歩いて森にはいって少し行ったところで会敵したんだよね。でも最初は50ぐらいだったんですよ!

だけど倒した後からドンドコドンドコ敵がわいてきまして……気がついたら周り中囲まれまくってたんですって!


たぶん100とか200とかじゃなくてもっと居るねこれ。

さすがにこれだけ数がいるとやばそうと思ったんだけどー……今のところピンチにはなっていない。

と言うのもタマさんがきっちり戦闘に参加しているからである


……タマさんがまじめに戦ってるって時点でちょっとやばい気がしなくもないけど。

でもまあ、このレベルの敵であればいくら数がいてもタマさんをどうこうすることは出来ないし、何とかなるっちゃなる。





「ちょっ、なんでドラゴンまでいるのさっ」


俺がフラグ立てたんじゃないからねっ!?


出た瞬間タマさんに頭吹っ飛ばされてたけど、間違いなくドラゴンだ。

……鉄竜とは違うタイプぽいけど、周りの敵と比べて明らかに強いよねこいつ。

やばくない?



「撤退するニャー。 道開けるから走るニャ」


ドラゴンの姿を瞬殺したタマさんから、撤退の指示がでる。

今のところ誰も怪我してないし、囲まれてはいるけどまだまだいける状態だ。

でも誰も不満の声を上げたりはしない、何せタマさんが撤退というぐらいだ、皆やばそうだってことはわかっているのだろう。


俺にだって何かやばそうな気配は感じ取れてるしね、ベテランの皆ならもっと感じていることだろう。


「ウッド走りながら索敵出来るかニャー」


「いけるよ」


もちろんいけますとも。

根っこ伸ばすのがちときついけど、この体にはだいーぶ慣れてるしそんぐらい出来ちゃうのである。


「あっちのほう頼むニャ」


「あいよ」


タマさんの指示した方向は、さっきから敵の増援がガンガンきてる方角だ。

あっちからまだまだ来そうだしねー……よっし、伸ばすぞー! にょっきにょき。


と、俺が根っこを伸ばした直後俺たちの周囲でとんでもない爆発が起きる。


「ひえぇぇ~……おっそろしい威力」


タマさんの魔法である。結構手加減なしで撃ったぽい?

周囲にあれだけ居た敵も周囲の森も全て吹っ飛んで地面がむき出しになっている。


……よ、よし走ろう。

てか皆もう動いてるし、置いて行かないでっ。




「……んん?」


入口目指してがんがん走っていると、俺の根っこレーダーが異変を探知する。

あ、敵はどんどん追ってきてるんだけどね、何というか追ってくる敵の量がですね……。


「……ちょ、やべえ! 後ろから無茶苦茶きてる!? さっきの倍! ……いや、もっと!」


めっちゃ増えた!

もう何匹いるかとか感知できないぐらいの数が後ろから迫ってきてる。

これ、あれだ。前の指導者現れた時のやつ。あれぐらいの数がいる……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る