第129話 「128話」
「あー……なんでまた急に泣き出したんだ? ウッドに変なことでもされたのか?」
「してねーのです」
まじでなんもしてないからねっ!
てかゴリさん見てたじゃん! めっちゃ迷惑そうに見てたじゃん!
まったくもう。
……お? ケモナーさん落ち着いたのかな。 涙をふいて何かしゃべる気になったぽい。
「昔から……タマさんのこと、気になってて」
「まあ、目立つしな」
目立つよね。
可愛いもん!
老若男女だれもが目を惹きつけられるその可愛さ、もう犯罪ですね。
「いつか触りたいと思ってたんだけど、ずっと触る機会がなくて……それで、今日久しぶりにタマさんを見かけたら、すごい丸くて」
「あー……」
何ででしょうねえ?
やだ、ゴリさんてばこっち見ないでくださいよー、やだなー。ハハハ。
「籠に収まってるの見たら我慢が……でも嫌われたくないっ」
なるほどなるほど。
籠にみっちりつまったタマさんみて我慢が効かなくなったとね。
まあ気持ちはわかる。 俺も籠につまったタマさんを見てなんど顔を埋めようと思ったことか……。
もちろん寝てるところを邪魔すると嫌われちゃうからやらないけどね。
うーん、しかし触ったことがないとな?
機会は割とありそうな気がしなくもないけど……俺がタマさんと最初に出会った時だって、ほかにも触ってる人いたし?
「触る機会なかったんですか? 子どもが撫でてるの何度か見たけど……」
「大人が子供に混じってやるわけにはいかないでしょう?」
Oh……。
「うん……うん、確かにソーデスネ」
言われてみれば確かに。
あの時まわりに居たのみんな子供やんけ!
もうね、みた瞬間猫まっしぐら!って感じだったから気にしてなかったわ。記憶から消えてたわ。
……やべえ、街の人に変な大人とか思われてそう。
ま、まあいい。
過ぎたことは忘れよう、そうしよう。
それよりも今はケモナーさんだ、ケモナーさん。
なんかお話聞いているうちにちょっと可哀そうに思えてきた。
仮に、もし仮にだよ。
俺が逆の立場だったらと思うと……やべえ、血涙もんですわ。
……ちょっとだけ、ちょーっとだけアドバイスでも?
それでタマさんが触っても良いと言うかは別だけどな!
「んー……タマさんたぶんだけど、こう……興奮してる人が近付いたりするの苦手なんじゃないかなーと思うんですよ。 あとじーっと見つめたり、興奮してきたからと言ってそれを表情に出すのも出来るだけ避けたほうがいいと思います。 だから、側に行ってもじっと静かにして慣れてくれば触れるんじゃないかなーって」
対猫の基本ですね。
動き激しかったり、煩いと逃げちゃう。
タマさんの場合、それに加えてこいつやべー奴だってのを察してそう。
だから出来るだけ、じーっと静かにしてあまり視線向けたりしないでー……って慣らしていけばその内わんちゃんあるんじゃないかなーって思うのですよ。
……まあ、それやっても逃げる時は逃げるんですけどね。
悲しみ。
「あなたは……なんで平気なの?」
「ん?」
平気ってなにがだろ。
「こいつはずっと側に居るからタマさんも慣れたんだろうさ」
「ん???」
ゴリさん?
な、何がかな?
「そう……分かった、ありがとう。 少し頑張ってみようと思う。……触れるの何時になるか分からないけど」
俺が頭にはてなマーク浮かべていると、ケモナーさんはそうお礼を行って俺たちから離れていく。
さっそくアドバイスを実行するつもりらしい。うまくいくといいね。
……で、それはさておき。
「……ゴリさん」
「あん?」
「俺もタマさん触ってるときあんな感じなんです?」
私、すごく嫌な予感がするんです。
もしかしてもしかすると俺もあんな変態っぽくなっているんじゃないかって。
「あんなって……いや、違うけどよ」
違ったらしい!
せーふせーふ。
いやあ、そうだよねー。いくらなんでもあんなあからさまに変態です! 見たいにはなってないよね。
いやーもう、ゴリさん不安にさせないでよー。
「もっと酷いぞ」
「…………」
俺、変態だったらしい。
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