第40話 「39話」
戦闘終わったので解体タイムである。
魔石がある位置は人型であれば大体心臓辺りと相場が決まっているので手早く解体を済ませてしまう。
「ニャ。こいつら腕でガードするから中々致命傷を与えれられないニャ」
俺が解体をしているとタマさんがトコトコと寄ってきて、オーガの折れた腕を指してそう話す。
「うん、確かに」
オーガは……というかある程度の知能がある敵は攻撃を避けたり防いだりしようとするんだよね。
いや、まあ当然だけど……何もしようとしないゴブリンがあれなだけである。
格下であれば防御されようが関係ないけど、オーガより上はそうもいかない。
防がれるとそれだけ倒すのに時間掛かるし、手間取ってる間に追加の敵がくる可能性もある。
ちなみに今回2体に専念できたのは、タマさんが後続をこっそり始末していてくれたからだったりする。
なんか知らない間に血溜まりがいくつか出来ていた。怖い。
「次は蔦も使って戦うニャ。使い方はまかせるニャー」
「あ、そか蔦忘れた……」
うん、忘れてた。
蔦とかも試すつもりだったんだけど、いやオーガの顔が怖くてねー。なんて言い訳してみる。
んま、一度やりあえば多少慣れるので次は大丈夫でしょ。たぶん。
「ねえタマさん。 こいつらお金稼ぐのにいいとか言ってたけど、何か素材として使えたりするの?」
今までの敵って魔石しかお金になるのがなかったんだよね。
オークは豚さんタイプじゃなかったし、コボルトは毛皮とか売れるかなって思ったけど、需要まったく無いらしく買い取りはしてなかった。仮に剥いで持って帰ったとしても買い取り拒否されるかタダ同然だと思う。
「使えるものは無いニャ」
あるぇ?
素材じゃないのか……いやまあ確かに人型の敵から皮膚剥いでそれに需要有るのかと言われれば多分無いよね。あったらそれやばい人だ。
牙とか使えそうかなーって思ったけど加工とか考えると金属製でいいやってなるんかなー?
「あ、そなの? じゃあ魔石が高いとか?」
となると残りは魔石だけど。
オーガの体から取り出した魔石しげしげと眺めてみる。
確かに今まで手にした魔石とくらべて大分大きく、それになんか色が違う、濃いのだ。
何か高そうな感じがするぞ。
「1個銀貨3枚ニャー」
「割と安いねっ!?」
くっそ安かった。
こいつで銀貨3枚とか割に合わなさすぎじゃないデス??
ゴブリン2匹で銀貨1枚だよ? むこうは新人のために高く買ってるてのはあるけどさ。
「こいつらたまに装備つけてることがあるニャ。 特殊な素材で出来てて高く売れるニャー」
「へー……どんな素材なの?」
なるほどそっちかー。
特殊な素材ってことは素材そのものに価値があるってことかな。オーガサイズの装備とか人には大きすぎるだろうし、鋳つぶして使うとかなんだろうか。
いや、金属製じゃない可能性もあるかな?
その場合は切ったはったして使うのだろうか……うむん、気になりますな。
「ニャ。休憩しながら話すニャ。そこ座れニャー」
「うぃっす……ほいほいリンゴね」
「ニャ」
休憩=リンゴである。
タマさん本当リンゴ好きだなあ……喜んでくれるのは俺も嬉しいけど、枝からブチッとやるのはやめてくだしい。
ま、ちょうど解体も終わったし、オーガ戦で疲れたし俺も休憩したかったところだ。しっかり休んで次戦に備えますか。
「……俺も食うかな」
何かタマさんが美味しそうに食べてるの見てたら俺も食いたくなってきた。
結局まだ食べてないんだよね、リンゴ。
「リンゴも久しぶりだなあ……梨のほうが好きなんだけど……うっっっま!」
めっちゃうまい!
香り、食感、味。全部が完璧過ぎる。
記憶に残っているリンゴの味よりも明らかに上だ。
「え、なにこれリンゴ!? あ、リンゴだよ!」
「何言ってるニャ」
美味しすぎて頭が混乱してきた。
これ本当にリンゴなの?と……我ながら意味不明な言動をしてたと思う。タマさんのどこか冷たい目がぐっときます。
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