第28話 「27話」

わ、話題を変えよう。


「そういえば持ち回りの仕事って何なんですか? 俺と出会ったのもたぶんその帰り道だったんですよね?」


これ、ちょっと気になってたんだよね。

ダンジョンシーカーがダンジョンの外でやる仕事ってなんだろうって。

護衛とかすることもあるのかなー?って思ったけど、出会ったときはゴリさん達以外には誰もいなかったしね。


「ああ、高ランクになるとな色々便宜図って貰える変わりにちょっと面倒な仕事やらなきゃならんのよ」


あ、やっぱそう言うのあるんですね。

俺がゴリさんのランクまで行くのなんて当分先の話しだろうけど、ちょっと気になる。


「ウッドくん覚えていないだろうけど、ダンジョンってここだけじゃないんだよねー」


「あ、そうなんですか?」


知らんかった。

え、てことは世界樹も沢山有るってこと? なんかありがたみが薄れるなあ。

何となくイメージ的に世界に1本しかないと思ってた。


「そそ。 それに何時どこに出来るかもわからないんだよねー。 出来ると同時に世界樹も生えてくるからさ、モンスターが外に出てくることはないんだけどー」


ん、これは……確か前に聞いたことがあるぞ!

てかダンジョン出来ると同時に生えてくるって……なんかダンジョンとセットになってるんかね?


と、まあそれは置いといて。 確か通常はモンスターが外に出てくることはないんだけど……。


「何でしたっけ……指導する者が出ると別の出口を作って外に出て来ちゃうんでしたっけ」


「うん。 よく覚えてましたー」


俺の緑色の脳細胞はしっかり機能していたようです。


てかカールさん、頭ぐりぐり撫で回すのやめてくだし。これ、なんて羞恥プレイ。


「ダンジョン出来たのに気付かずにいて、もし指導者が出ちまうと周辺の村やら何やらに被害が出る。 そうならないように俺ら見たいな高ランクの連中が探し出して、浅い階層のダンジョンなら奥までいって潰す。 深い階層なら潰すのはきつい……が恩恵もでかい。だからこの街みたいに囲って指導者が出るまでは利用させて貰って、いざでたら世界樹と共にダンジョンで鍛えた連中総出で指導者をとっちめるのさ」


あー……なるほど。

確か世界樹の近くにモンスターは寄ってこない……てことは世界樹から離れたところにはモンスターが一杯ということになる。

そんなとこに調査しに行くなんて、そりゃ高ランクの人じゃないと無理だわ。

てか、ダンジョンて潰せるものなのね、そっちもビックリだわ。

一番奥にコアでも置いてあるんかしらね。


「深いダンジョンなんて出ても100年に数回だそうですけどね」


「ほへー……」


なんかまた色々と知識が増えた。やったね


この世界についてまだまだ知らない事がたくさんある。

今は生きること、体を鍛えることで精一杯だけど、落ち着いたら色々と調べないとだなあ……もちろん自分も含めてね。 この体もまだ分かっていないことがまだあるはずだし。


もしかするとそろそろ……なんだっけ、体が岩になっちゃった人だっけ? あれ、水だったっけ……と、とにかく体が俺みたいに何かと混ざってしまった人がそろそろダンジョンから戻ってきてもおかしくはないし。

リタさんに戻ってきたら教えて貰えるよう話しておかないとだ。


そんな感じでその日は遅くまで食事をし酒をたらふく飲んで宿へと戻るのであった。



そして翌朝。


「んご……っあだだだ」


かったいお布団で目を覚まし、痛む体をさする俺。

いやね、昨晩戻るのが遅かったもんで今から部屋変えてと言うのもね……?

明日から部屋変えますとだけ言っておいたのだ。


「……っ! そうだ、朝ご飯食べなきゃ」


でも朝食は付けて貰うようにお願いしたので、今朝から宿で朝食が食べられる。やったぜ。


毎朝、良い匂いをがまんしてギルドに行くのは辛かった。ほんとに。

でもそんな我慢も昨日までである。俺は玄関ではなく食堂へと向かうと早速空いている席へと腰掛けた。


「朝食お願いしまーっす」


「はいよ。今日の日替わりね」


朝食は頼んですぐに出て来た、朝は混むのが分かっているので事前に作り置きしてあるのだろう。

作り置きとは言っても別に冷めているなんてことはない、客がくるタイミングに合わせて料理が出せるように計算して作ってるのだと思う。そのへん上手く出来るのはは長年の経験だろうか。


「ありがとうございまっす。 うひょーうまそー」


焼きたてのパンのような……もうパンでいいか、風味とか小麦じゃないけど似たようなもんじゃろ。

んで、焼きたてのパンが3つ、それに超分厚いベーコン?と目玉焼きに何か細々としたものが添えられた大皿、朝から豪勢なぐらい具沢山のスープ。さらにはサラダまでついてくるという、下手なホテルの朝食よりいいんじゃないか?ってぐらいのメニューである。


「……うまっ」


もちろん美味しかった。

ギルドでとった食事といいこの世界の食べ物本当美味しいな!


「ごちそーさま。美味しかったです」


「でしょう? うちのご飯は美味しいんだから」


うん、本当美味しかった。

これから毎日食えると思うとうれしくなるね。


「それじゃ、いってきますね。 えっと、今日の夜から部屋を変えたいんですけど……」


「ああ、良い部屋にするんだったね。用意しておくから安心して行ってきなさいな」


よしよし、これで帰ってきたらふかふかのお布団が待っているぞ。

良いお部屋にした分、お値段3倍ぐらいに跳ね上がったけど……昨日の稼ぎ考えればまったく問題はないしね。


「はーい、それじゃお願いしまっす」


こっちの世界にきて2週間ちょっと、ようやく装備や拠点が整ってきた感じである。

あとは情報集めとパーティメンバーを見つけるだけなんだけど……うまくいくと良いなあ。

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