第24話 「23話」
朝起きると相変わらず体がバッキバキである。
それもこれもこのかったいお布団が原因なのであるが、このお布団ともそろそろお別れの時となる。
おそらく今日の狩りで俺の持っている借金は全額返済できる、そうなればもうちょい良い部屋にも泊まれるし、宿で食事をとることだって出来るのだ。
もうこのお布団ともお別れと思うと少し寂しく……ならない。
だって数日しか使ってないもん。
まあ、それは置いといてそろそろ行きますかね。
「えーと、今日も午前中はゴブリン狩って、午後から草刈りと……今日は3回やるって言ってたけどほんとかなあ」
ゴリさんだけど、昨日の狩りの様子を見て今日は3ラウンドやると決めたらしい。
食事中のそれも酔っ払った状態での話だったけどたぶんやるんだろうなあ。
……体はともかく心が心配です。
まあ、あっさり倒し終えたんですけどね!
心はもうドライになりすぎてカッサカサですわ。潤いが欲しい、切実に。
「順調だな……そろそろ盾が軽く感じてきたんじゃないか?」
ふと、ゴリさんに言われて盾の感じを確かめてみる。
確かに初めて盾を扱ったときに比べて重さは気にならなくなっていた、稽古やゴブリンとの戦いで扱いに慣れてきた……だけでは説明出来ないぐらい盾が軽く感じる。
「あ……言われて見るとそうですね」
「今日の分でゴブリン合計500匹は狩ってるだろう? 大分体が強化されてきたんだ。 大体レベル5ぐらいにはなってるだろうさ」
モンスターを狩ると体が強化されると言うのが俺にもきっちり適用されていたのだ。
しかし……500匹狩ってやっとレベル5ぐらいなのか。
「おおー……やっぱこれって早いんですよね?」
「ああ、そのレベルになるには早くても半年は掛かる」
「け、結構掛かりますね」
思ってた以上に掛かるね。
半年で500匹っってことは……休みいれることも考えて1回の狩りで4匹ぐらいなのか。
今の狩りかたを新人がやるとまず死ぬって話しだし、そんなもん……だとしても少ないような?
あ、そか。他の人はパーティー組んでるもんね、たぶん20匹とか狩っても頭割りになっちゃうのだろう。
このへんはソロの強みだろう、かと言ってずっとソロでいるつもりは勿論ない。
「1年で大体7から8ってとこだな。 それぐらいになるとパーティ組んでる連中はゴブリンの次に行く」
「1年……」
俺、明日にはゴブリンの次に行くんだよね。
早いなんてもんじゃない。
「お前は異例の早さだな。 パーティーの勧誘来まくるぞお? 覚悟しとくんだな」
な、なんだって。
これはあれか、よくある実力発揮した転生者に人が群がるようなテンプレな展開が俺にも起こるということか!
やばい顔がにやけそう……ん? あれ、でもリタさんからまだ何も連絡ないよな。 ゴリさんの言う通り勧誘きまくるのであれば昨日とか今朝の段階で来ててもおかしくないような?
「ま、まじですか……そういえばリタさんにパーティーの斡旋お願いしてるんですけど、今のところ何も連絡が……」
「一杯来すぎて絞りきれてねえんだろ。 碌でもないパーティーと組ませる訳にゃいかんだろうが」
「な、なるほど……」
なるほど、どういうこともあるのか。
うへっへ、どんなパーティーとあたるのか今から楽しみですなあ。
よっこいせとカウンターに魔石やら薬草がつまった袋を置いていく。
受付はいつものリタさんである。
他にも受付あるけどやっぱ慣れた人の方が良いよね。 リタさんならこの大量の袋を見ても驚くことはないし……あ、ちょっと呆れた感じの視線を向けてらっしゃる。 やったぜ。
「今日もまた大量ですね……この分だとそろそろゴブリンも卒業でしょうか」
「やー、どうなんでしょうね。 ゴリさんは装備整ったら行く気見たいですけど」
昨日より100匹ぐらい多いですからね。
もう明日コボルト狩りに行くのは決まってるけど、ちょっと照れ臭かったのでごまかしておく。
「そうですか……それではウッドさんに伝えなければならないことがあります」
お、おおう?
なんだろうあらたまって……ちょっと身構えつつリタさんの言葉を待つ俺。
「コボルトを狩れるようになった段階で、ウッドさんからゴブリンの魔石は買取が出来なくなります。 これはゴブリンのように比較的狩りやすいモンスターの魔石の買い取り価格を高めにしておくことで、新人への補助としているためです……ウッドさんには急なお話となって申し訳ありません。 初日に話しておけば良かったのですが、失念していました」
「いえいえいえっ、分かりました。そのへんは理解できるので大丈夫ですよ」
あーなるへそね。 初日はゴリさんにお願いしたりなんだり色々あったからしゃーないよね。
新人への補助かーちゃんとそのへん考えてるんだねえ……って、高く買い取りしてあのお値段なの? ……あ、本当だコボルトと変わらないや。 てか次のオークとも値段が変わらない。
……コボルトの次はオークか。
難易度跳ね上がってる気がしなくもないけど、お値段一緒なのね。
「ありがとうございます……それでは本日の買取金額、銀貨171枚と銅貨5枚です」
「お、多い……」
手で持つとむっちゃずしっと来る。
周りの視線が気になるけど……慣れなきゃいけないよね、毎度毎度気にしていたらしゃーないし。
「あ、そうだリタさんパーティのことなんですけど、あれってどんな感じでしょう?」
換金したついでにパーティのことも聞いてみる。
ゴリさんにはああ言われたけどやっぱ気になるのです。
「いくつか募集は来ていますよ。 ただ……あまりお勧め出来るパーティではないですね。 ウッドさんは戦闘能力だけ取れば新人とは思えないほどです。 昨日ゴブリンを大量に狩った時点である程度噂は広まってはいるようで、やはり募集してくるものは皆ウッドさんの戦闘力目当てのようですね」
「ふむふむ……?」
募集はやっぱ来ていたらしい。
んでリタさん的にはお勧めできるパーティはないと……戦闘力目当ては別にダメな気はしないのだけど、何かほかに理由あるんかしらね。
「もちろんそれ自体は問題ありません。 ただ、そうですね……正直将来性のないパーティと言いましょうか。 ずっと浅い階層でゴブリンを狩るのが目的で、戦闘をウッドさんにまかせて楽したいという意図が見え見えでして」
「お断りしますっ」
ないわー。 さすがにそれはないわー。
やっぱさパーティ組むならお互いに足りない部分を補ってさバランス良い感じにしたいよね。
「はい、なので中層や下層で攻略を進めている方々が戻られるまで待ったほうが良いと思います……それが遅くて2週間と言ったわけです」
「そういうことだったんですね……わかりました。 このままいけばお金にも余裕が出来そうですし、じっくり待つことにしますね」
リタさんにお礼を言ってゴリさん達が待つテーブルへと向かう。
先にお店に借金返しにいこうかと思ったけど、もうテーブルに料理並んでるし明日の早朝装備を受け取りに行くしで明日に回すことにしたよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます