悲しみの魔王

次の日の魔王城はとても騒がしかった。


それは昨日、突如として現れた光の柱が原因だった。


そのため、その日の玉座の間には沢山の魔物が押し寄せていた。


そんな状況下で、広い室内を埋め尽くす多種多様な魔物達を玉座から見下ろす魔王の少年は、内心とても困っていた。


と言うのも、日課の掃除をしている時にいきなり魔物達が押し掛けて来た物だから、魔王は今ジャージ姿のままなのだ。


それどころか、埃が飛ばないようにとカナリアに借りたフリフリのエプロンとうさぎの絵がプリントされたバンダナまで装備している。


状況が状況なだけに、足を組んでカッコいい感じに玉座に座ってはいるものの、正直かなり恥ずかしくて、周りが何か真面目に話し合いをしているのに、内容が全く入って来ない。


その結果、話を振られても何のことだかさっぱりわからず「お、おう。」とか「あー…うん、そうだな。」とか、ふわっとした返答を返すばかりである。


しまいには


『何でどいつもこいつも真面目に話してんだよ!バカなの!何か指摘しろよ!魔王様おかしいでしょ?変な格好してるよね?何でみんなこんな滑稽な格好したやつとまともに話してんの?気使ってるの?良いよ!そう言うの良いから!何か言えよ!バカ!』


と心の中で部下達に毒付く始末である。


しかしながら、彼の心の叫びが誰かに届く事はなく、話し合いは続く。


結局最後まで魔王の格好を指摘する者は現れず、魔物達が去った後、魔王は玉座でしばらく泣いた…


next story 【城を出る魔王】

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