第三話

気付く魔王

突如発生したその光の柱の噂は瞬く間に世界中に広まった。


世界を救済する勇者の誕生を示す光だと言うものもいれば、世界の終わりを告げる終末の光だと言うものもいる。


結局の所、その光を真に理解する者はその場に居合わせていた者と関係者だけである。


魔王城、調理場。


魔王お世話係を務めている魔物、長く綺麗な金色の髪に宝石のような翡翠色の瞳を持つメイド服姿の魔物の少女、カナリアは料理をしている真っ最中にその光を目撃した。


「アレ、は…何?」


彼女はその光を知らなかった。


しかし、それでもアレが危険な物であるという事だけは理解していた。


扱っていた刃物で手を切ってしまっても気付かない程に、カナリアはその光に見惚れていた。


綺麗で神々しい光、しかし何故だかとても恐怖を感じる強い光。


「おーい、カナリアー、飯出来たか?まだなら手伝うぞ?」


いつのまにか自然震える体を抑えていると別の人物がもう一人現れる。


不吉を象徴する黒い髪と黒い目を持つ少年。


人間が運動する際に着用する、黒いジャージと呼ばれる衣服をだらしなく着崩した少年は、あくびをしながら調理場に入ってきた。


「ま、魔王、様…。」


寝ぼけ眼であくびの止まらない魔王はしかし、カナリアを見て少し真面目な顔になる。


そんな、いつになく真剣な表情の魔王を見て、カナリアはあの光が相当危険な物である事を察する。


「カナリア…お前…………またよそ見しながら料理したただろ。」


「あ…れ………?」


予想外の発言にカナリアは首を傾げる。


「あーあ…血が出てるよ…たく、俺は回復魔法使えないんだから気を付けろって言ってるのに…ほい、絆創膏。」


「あ、りがとう…ございます…。あ…の、魔王様…外の…光は…?」


「ん?あー…アレは…………………………何だアレ?凄いな。」



next story【暇を持て余す魔王】

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