勇者、言い切る

「服良し、お金良し、持ち物の整理も良し。」


銀色の髪に青色の目、布の服、カーディガン、ロングスカートに革の靴、背には小さな肩掛け鞄。


先程までのゴツゴツした格好は何処へやら、今の勇者はどこからどう見ても普通の少女そのものだった。


「ふむ…こう言った服は着るの初めてですが…変ではないでしょうか?」


店のガラスの前でくるりと一回転し自分の格好を確認する勇者は、確認を終えると満足そうに頷く。


「大丈夫そうですね。さて、では次は衣食住の食と住です。残りのお金は…」


布の袋を取り出し、残りの所持金を確認する。


中には金色の硬貨が3枚。


「服って…高いんですね…。お金を稼がなくては…大丈夫、私は知っています。大きな街にはギルドと呼ばれる仕事紹介場がある事を、そこに向かう事にしましょう。」


今後への不安を感じつつも、それを「良し!」と気合いを入れて振り払うと、勇者はその一歩を踏み出そうとする。


しかしその一歩が踏み出される事は無い。


「あ、あの!」


なぜなら何者かに呼び止められてしまったから。


勇者はその何者かを確認するべく声の方へと振り向く。


そこにいたのは見た目十代半ば程の女の子だった。


黒いローブ姿に木製の杖を持っている事から、おそらく魔術師だろう。


余裕のなさそうなその魔術師は意を決したかのように喋り始める。


「あなたはもしかして勇…「違います。勇者ではありません!」


next story【勇者、決意する】

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