Over In Dragon〜悲しみから生まれた絆…〜

救援が来る前に｛済｝

　涼香たちはブレグラン国の兵たちに囲まれていた。

　そして数名のブレグラン国の兵がクルテルに襲いかかる。その瞬間クルテルは杖を天にかざした。

　《エリュプシオン　ヴォルカン‼︎》

　そう呪文を唱えると兵たちの真下から『ゴオォォ』と地響きとともに、その周辺だけがグラグラと激しく揺れだした。

　それと同時に、『ドオォーン〜』と音がし地中から兵たちめがけマグマが吹きあがる。

　兵たちは、クルテルが本当に魔法がつかえると思っていなかったため油断し、その攻撃をまともに受けバタバタと倒れていった。

「これはどういう事だ？なぜ龍がいないというのに、お前は魔法がつかえるのだ⁉︎」

「さあ。なんででしょうか。ククク……。それは内緒ですけどね。ククク」

　クルテルにそう言われ、ゴルボラは辺りを見渡してみた。

「クッ！どうなっている。辺りを見渡しても龍の気配は感じられん。ここは仕方ない、救援を呼ぶしかないようだな」

　ゴルボラは信号弾をはなった。

「なるほど、信号弾ですか。そうなると救援がくる前に逃げなければなりませんね」

「フッ。そう簡単に逃げられると思うなよ」

　そう言いゴルボラはクルテルに襲いかかる。

　それをみた要は、炎をボールのように持ち振りかぶりゴルボラめがけ投げあてた。

　ゴルボラは不意を突かれ避けきれず、まともに右肩にあたり火傷をおった。

　そして、火傷をおった肩をおさえながら要をみる。

「クッ。つう……。なんだその力は？魔法とは違うようだが。お前は何者だ⁉︎」

「さあな。別に何者でもいいだろう？」

「要。ここは深追いはしない方がいい。救援がくる前に逃げましょう。でないと、この場を切りぬけるのが、困難になるかもしれませんので」

「ねぇ。それはいいんだけどね。逃げるにしても、このおじさん追ってくると思うんだけど」

「お、おじさん⁉︎まぁいい。だがお前、その声は女か？なぜ、フードを深々とかぶっているのだ」

「別に、おじさんに言う必要ないと思うんだけどなぁ」

「フッ、面白い。この俺を、おじさん呼ばわりするとはな。なおかつその態度、気にいらねぇ。お前を先に血祭りにするとしよう」

　そう言うとゴルボラは剣を鞘からぬき、涼香めがけ突き刺そうとする。

　それをみた要はすかさず両掌に炎をまとい振りあげたあと、ゴルボラめがけ投げはなった。

　だがゴルボラは、それを予測していて剣で炎を打ちかえした。

　すると要はとっさに右に避けようとするが避けきれず、左脚のひざに炎が直撃する。

「フッ！同じ手が２度も通用すると思うなよ」

「ハァハァ。クソッ……。やっぱ、さっきはアイツが油断してくれてたからかぁ」

「要、大丈夫なの？」

「ああ、涼香。ハァハァ。大丈夫って言いたいけど。流石にいたい」

「やはり、ここはなんとかコイツから逃げないといけませんね」

　クルテルがそう言うと涼香と要は頷き、ゴルボラを警戒しながら後退りした。

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　一方、今から数分前。ここは涼香たちがいる森よりも、さらに北東に位置する森の中。

　ブレグラン国の兵たちと四天王の３人が、ここで網をはり待機していた。

　すると南西の方角から赤い信号弾がはなたれたことを兵士の１人が確認し、四天王の１人ネフロス＝ラバードに報告する。

「ルナソルにラゴス。南西の方角から信号弾がはなたれたらしい。それでどうする？」

「ネフロス。確かあの辺に待機してたのは、ゴルボラ兵士長だったはずよね？そうなると、敵はかなりの相手なんじゃないの？」

「ルナソルにネフロス。でも龍は封印されてるから、ドラゴナードは力をつかえないはずじゃないのかな？」

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　この２人はブレグラン国の四天王で、ルナソル＝デルドレとラゴス＝ディアシルである。

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「ああ。そうだが……。もしもという事もあるからな。そうなると、俺たちがいった方がいいだろう。だが何人でいく？」

「ネフロス。２人か１人でいいんじゃないかな？それに、ここにもドラゴナードの者がきた時に、誰かいないとまずいと思うけど」

　ラゴスにそう言われネフロスは考えた。

「んー。ドラゴナード以外にもいる可能性がある。そうなれば。やはり最低でも、２人は必要だろうな。で、誰と誰がいく？」

　そう言うと３人は考えたあと、ネフロスとラゴスがいくことになった。

　そしてネフロスとラゴスはゴルボラの救援にむかった。