龍に護られし種族{済}

 クルテルは自分のことと、バルロスとの関係。そして、龍の里のことについて話しだした。


「私の名はクルテル=ラグザ。龍の里の領主シルヴァ=アルシェ様の従者としてつかえているものです」


 そう言いクルテルは一呼吸おくと、


「そして、龍の里の本当の名はドラフィルと言います。そしてドラゴノヴァ国内にある、バルロス様が支配なされている領地の一部」


 クルテルは龍の里がある方角へと視線をむける。


「私たち種族は、バルロス様やほかの龍にまもられ暮らしております」


「なるほどなぁ。そうなると、バルロスが龍の里ドラフィルの心配をする意味は分かった。だけど、クルテル達はなんで龍たちにまもられて暮らしてるんだ?」


「私たちは、はるか昔より龍と共存してきた種族。そして、龍の守護がなければ、生きていけないのですよ」


 そう言われたが要は、あまりにも普通とかけ離れすぎる話だったため頭が混乱していた。


「そうか。んー分かったような、分からないような。そういえばクルテル。種族って言ってたけど。なんの種族なんだ?」


「そうですね。んー……。一応、人間ではあるのですが」


 クルテルは考えながら話している。


「私たちは、この世に生を受けた時から龍の守護をたまわり、龍の守護のもとであれば力をつかうことができる種族なのです」


 クルテルはどう答えたらいいかと、頭の中で思考をめぐらせていた。


「そうですねぇ。あえて言うなら、ほかの種族からはドラゴナードと呼ばれています」


 そう言われたが要は、イマイチ理解できなかった。


 なので要は、これ以上きいても無理だと思いきくのをやめた。


「……そっかぁ。それで、さっき龍の里が襲われたって言ってたけど」


 要にそう言われ涼香バルロスは、思いだしたように話しだした。


「そういえばクルテル。シルヴァは無事なのか?」


「バルロス様。シルヴァ様は無事でございます」


「そうか。それならば良いのだが」


「ですが、軽傷を負っていて。現在、エルラスタの領主ユリナシア=オルキデ様のお屋敷に、ゲラ=ルスとともにおります」


「うむ。よりにもよって、あのユリナシアのところとはな」


「はあ。そういえば、バルロス様はユリナシア様が苦手でしたね」


「ああ。だが、状況が状況なだけに、この際やむを得ぬだろうな」


「ですが、バルロス様。シルヴァ様のところにいくにしても。あのユリナシア様が、その姿をみてなんと言われるか」


 クルテルは、ユリナシアがバルロスの姿をみてどう反応するか想像している。


「いえ。おそらく私、以上に……。ククク。あーいえ、申しわけありません。つい」


「クルテル。はぁ、確かにそうだな。ユリナシアに、おそらくは、なにか言われるであろう」


 一瞬ユリナシアの顔が脳裏をよぎったがバルロスは、慌ててかき消した。


「だが今は、そんなことを言っている場合ではない。シルヴァに会わねばならないだろうからな」


「確かに、そうでございます」


「んー、バルロスにクルテル。そうなると当然。俺と涼香もいくことになるんだよな?」


「必然的に、そうなるだろうな」


「そうか……」


「ん?なにか心配ごとでもあるのか?」


「あーいや。そういうわけじゃなくて。ただ聞いただけなんだけどな」


「それならば良いのだがな」


 バルロスがそう言うとクルテルは、辺りを見渡したあと話しはじめた。


「それでは日がおちる前に、ユリナシア様のところにいかれませんと」


 クルテルがそう言うと涼香バルロスはうなずいた。


 その後バルロスは涼香と入れ代わり、そして要たちはエルラスタにむかい歩きだした。

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