一行怪談集

作者 居間正三

150

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★★★ Excellent!!!

一行ゆえに膨らむ想像が、さらなる恐怖を呼ぶ巧みなお話です。
なにより一行なので記憶に残りやすく、ふとした時に思い出してゾクッとしますね。作中にあるキーワードと日常が絡んだ時に不意にその一行が思い起こされて妙な悪寒を感じます。というか、たった一行のはずなのに濃厚すぎて想像が勝手に膨らんで一行とは思えなくなりますね。一行なのですが……本当に一行なのですが、一行でこの深み!凄まじいです!
まさにホラーというものもあれば幻想怪奇なもの、SFちっくなもの、生々しいリアルなホラーもあって多種多様に楽しめる怪談です。よくぞここまでの怪談を思い付くなあと感動させられます。すごいです。一行に綺麗にまとめる技術力の高さと巧みな手腕にも惚れ惚れします。
一行だからこその味わい。薄ら寒さや気味の悪さ、言い表せない不安や明確な恐怖……集められた素晴らしい怪談は、是非にご自分で読んで楽しんでください。
一行という手軽さだからこそ、気付くとどっぷり浸かってしまいますよ。

★★★ Excellent!!!

たった一行でどこまで書けるんだろう? 僕がこの作品を読みはじめたきっかけは、そんな疑問と好奇心を抱いたからです。

たった一行で……そうです。たった一行ではほとんどなにも書けません。しかし、書けなかった空白部分に恐怖があります。
いわば、この小説には「はじまり」と「終わり」だけなんです。過程がごっそり抜け落ちています。その抜け落ちた部分を補うのは読者であり、だからこそゾクっとするんです。
想像部分に冷たいものを感じます。

たった一行でどこまで書けるんだろう? そう思う人はぜひ読んでください。