還らない日々と　これからの日々と　かけがえのない君と 夏生由貴

ドイツのギムナジウムを舞台にした
４人の少年たちの４つの季節の物語。

「祭壇にあるマリア像より綺麗だよね、と耳元で囁いたら、
　どんな顔をするだろう。澄まし気味の硬質な輪郭を
　少しでも惑わせることができたらさぞ快感だろうな」～秋

「その上で、なおも祈りを重ねるんだよ。
　きみとの空間は神とのそれよりも、ずっとずっと深遠で清廉だと。
　そうあらねばならないと」～冬

「おれが望んだのは『ありがとう』でも『大好き』でもなく
『辛かった』の一言なんだ。それをきみの口から聞きたかった」～春

「あの人の礎なりたい。縁となりたい。頼ってほしい。頼られたい。
　強くなろう。今以上に強く。歳の差をうめるほどに」～夏

４人だった日々が３人に。それでもぼくらは生きていく――
「神の園辺でまた会おう」～往合いの空

【登場人物】
シャロン（シャル）…10年生、イギリスからの留学生
エーベルハルト（エーベル）…11年生、シャルの友人、ドイツ人
オイゲン …11年生、エーベルのクラスメイト、ドイツ人
ヤン …10年生、シャルのクラスメイトで特待生、ドイツ人

【ＢＧＭ】
ハイドン『ミサ曲～第８番・第10番』…続きを読む