第121話杞憂に終われば良いのだが、

杞憂に終われば良いのだが、


濁りきったお猪口に不浄の涙は充ち

波紋は未知だけを曇らす


映り混んだのは同心のわらわ。

無碍に一蹴す


赤く染まりゆく酔いの明けに

溜息を漏らすと

空には並びて奔る白波の鴎達


まぼろしであろう

粛々と鳴いた、


冷たい雨が降る

軒下で日は満ちるというのに撫ぜに

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