第88話此の聲が聞こえるか

此の聲が聞こえるか

響く念仏唸るは銅鑼とも謂れ


群生す喀血の痕

煩らわしくも光のベール

軽量視すべき蓮の葉に

吐露したは辞世の句


阿吽の呼吸 燈と油


オルガンは啼き掻きて

兆す若葉をも湿らせ

打開すべき閉塞

推定せし 想像の沈香


拍子木はまだ時を刻む

詠い続く統べやかな眠りに

跡一國とも。

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