第56話海面が沈着したその淵は苔蒸し

海面が沈着したその淵は苔蒸し

放浪の旅を終えた鴎 黒く燻され

止まり木の籠に打掛 羽根を散らした


曖昧な形の琵琶胞子は散開した挙句

朦朧の欠片となってワイングラスに伝染る


軽やかな未来は灯(とう)に過ぎ去り

希望飲み干しても乾いて逝くばかり

何も入(はい)れず何も残せず

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