第30話薄化粧を解かれ
薄化粧を解かれ
函に終う掛け軸の如く
誰ともなく塩梅に燻ること
擽られる耳朶に震う贈り物
「さんかい」
満足げに鈴を転がし
囀ることりと生った
遠く永眠せしと隠す恋心
精魂尽き果て大振りな焼香
突き立てた光、散ら死に水と
戯れであったか
撓んだ褥から徘徊す
朝顔の蔓だけがふあり
咲く夜光虫
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