戦闘開始(荒川視点)
敵の攻撃を必死に回避して攻撃へと転じる。 剣先は鋭く弧を描いてゴーレムへと振り下ろされるが、ゴーレムを目前にして剣がまるで重力に逆らうように速度を緩め、わずかながらにゴーレムの表面を削る程度しか攻撃が届かない。 初めの内は踏み込みが甘かったかとも思ったが、何度やっても同じ結果に終わった。 そのため1つの考えが頭をよぎる。
「……ひょっとして、全てのゴーレムに魔術障壁が張ってあるのか?」
障壁を張ったゴーレムなんて聞いたことがない。 だが目の前のゴーレムは、こちらの攻撃が通りにくいのは事実であるため、それ以外に考え付かない。
相手の攻撃をギリギリで回避しつつ呼吸を整える。 そしてわずかに傷ついたゴーレムの表面を見て、勝てないというヴィジョンを押し殺す。
「落ち着け私ッ!! 障壁が張っていようが多少は傷つくんだ!! 勝てないという敵ではない筈!!」
自分の中で生まれた”恐怖”という感情をかき消すために自身に渇をいれる。
「よしッ!! 行くぞ化物!!」
気合を入れ、今まで以上に相手をかく乱して隙をついて攻撃する。 しかし悲しいかな、持てる全ての能力をフルに使っても目の前のゴーレム1体すら破壊することは敵わなかった。
「くそっ!! ダメージが通りにくいうえに、数が多すぎる」
加えてゴーレムなどの人口生命体は、体力の限界が無い。 そのためじりじりと荒川は追い詰められ、今では攻撃を受け流すことで精いっぱいだった。
「山口先輩!! 石井!! 生きてますかッッ?」
これだけ私がてこずっているのだ。 ひょっとしたら2人共死んでしまっているのではないのか、という不安がよぎり思わず声を張り上げる。
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