異変ー3
椎名の問題ないという言葉にホッと胸をなでおろす、同時に怒りが込み上げてきた。 怒りの原因は彼女が死にかけた原因が安易に予想の付くためだ。
「イジメにしたって限度があるだろ死にかけてたぞ」
不良達をけん制しつつ助けを石井ちゃんが求めたらすぐに動ける体制をとってきたのが裏目に出た。 こうなる事を見極められなかった自分自身にも腹が立つ。
「訓練の一環や魔物の襲撃などで学生が死ぬことは珍しいことではありません、今回もし彼女が死んでいたら、ろくに調べもせずに魔物の被害者として扱われたでしょうね」
「……無法地帯だな」
前の世界の方が原始的な生活を送っているが、変なところでこの世界の方が遅れている。 椎名の説明を聞く限りでは、人権なんかも希薄のようだ。
「個人に関しては菊池さんの様な特殊な存在を除き政府は基本的に関与しません、なのでこういった事件や事故は多いのです。 もちろん非力な人間は身を守る手段の魔道具を常時備えているのですが」
椎名は言葉を途中で切って石井ちゃんに身につけられていたブレスレットを手に取る。
「記憶媒体ですね、ご覧になりますか? 私的にはイジメの現場の証拠映像なのでオススメはしませんが」
「見るに決まっているだろう。 こうなった犯人を追及しないと怒りが収まらないんだ」
「分かりました。 ですがショッキングな映像なことが予想されますので、気分が悪くなられましたら言ってください」
椎名の言葉に、俺は黙ってうなずく。 すると椎名はブレスレットを右腕にはめて俺の頭に手を置いた。
「それでは菊池さん目を閉じてください、彼女が痛みを感じた時の記憶をお見せします」
椎名に言われるままに目を閉じると、いきなり頭を殴られたような衝撃を受けた。
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