ニコの絶望も、綾乃の絶望も、ユリアの絶望も、リンカの絶望も、真の絶望も、
優劣を付けるべきじゃないし、等しく彼女達の心を殺した絶望なんだと思う。
ただそういう風に心を殺した女の子達が、それでも楽しみとか尊い何かを見つけて同じ世界を共有しようとしているのがとても良かったです。
誰にも同情する権利なんてないし、理解されなかったとしても。
彼女達の中で、分かり合えずとも寄り添いあえたなら、それが救いになると良いし、なって欲しい。
読み切った後にはそういう確かな鮮やかさがあってそれがとても尊いものだと思いました。本当に、鮮やかでした。
コミカライズで数話読んでから原作があると知りこちらに流れてきましたが、文章でしか得られない美しさのある物語でした。
詩的でもあり生々しくもある文章表現と、簡潔なテンポ感の良さがバランス良く読みやすく、とても素敵だと思いました。
読めて良かったです。
風俗店で起ったある殺人事件から物語が始まります。
風俗嬢とボーイ一人一人の目線から一つの事件を見つめて語られ、事件の正体が霧が晴れるように段々と輪郭が現れていきます。
その過程に含まれる、彼女ら一人一人の爆発しそうな想い、どうしても抱かざるを得なかった感情、優しさ、哀れみ、その人がその人であって欲しい気持ちなど、一人一人にある切実な思いがひしひしと伝わってきて、登場人物全員がとても愛しかったです。
この世の中のどこかに本当に存在していそうな彼女、彼らの幸せを祈りながら、読んでいました。最終的にあるのは絶望のような気がするのに、なぜか底抜けに明るくも感じ、それがすごく悲しくて、でも最高でした。
最後の最後まで読んでからキャッチコピーを読むと、なんか泣きそうになります。全員幸せになって欲しい。
自分のレビュー文章の表現力では到底説明しきれない、本当に良いお話だなあという思いを抱きながら今この文章を書いております。
本当に素敵な話でした。