自称そこそこ天才のクラフト教室
「今回作る魔道具は、設置した場所付近に風や木の葉と言った細かい自然現象以外の変化が起きた場合に遠隔地、つまりここにその情報を送り、警報として知らせる単純な仕組みだ。
『周辺の光を受信する』、『付近、あるいは装置自体に一定以上の変化があれば組み込んだ術式が発動して信号をこの家に送信』。それが魔道具本体の純粋な性能だ。
『アラームが鳴る』そちらの処理はこの家がやるから問題は無い。
私達が作るべきなのは『受信』、『一定条件下で送信』の二箇所だけ。装置自体は家が組み立てる。
今回は難易度が上がって少し面倒だが、配線の発見と警戒、こちらの発見を防ぐ為に無線式でここに情報を送り続ける仕組みで作る。
これが設計図だ。ちなみに私の頭の中に設計図はあるから持っておくといい。」
頭を指で小突きながらそう言って、作業机の上の図面を手渡してきた。
「これは……凄い。」
息を飲んだ。単純明快とは言えど、無駄無く無理無く必要な性能を集めて詰めたそれは線一つで設計者がにわか仕込みや付け焼き刃や伊達で自称そこそこ天才と名乗っている訳でないと教えてくれるから。
「解らない場合は遠慮無く言って欲しい、簡潔に簡単に説明をする。
苦手な作業はフォローする。
それでも難しい時は手伝い方を考えるから安心して欲しい。
苦戦しても怒りはしない。
むしろこの自称そこそこ天才の魔道具を呆気なくコピーされたらプライドが傷付くくらいだ。」
腹が立つ程に得意満面の笑み。
『自信』。しかしてそれには根拠があり、結果も追従している。
「自称そこそこ天才の発明家からレクチャーを受けるとなれば……」
「勿論です。
天才的発明家から直々に魔道具作成のレクチャーをして頂ける絶好の機会。
存分に、です。」
当然の如く張り切ってる。
「では、説明を始める。」
作業椅子を音も無く引き、座るよう促した。
「有難う御座います。」
さー、レッツクラフト!
両者座り、自称そこそこ天才は用意されていた部品を並べ、説明を始めた。
「この魔道具の主な部品は『外枠の箱』、『光を集める為のレンズ』、『集めた光を感知するセンサー』、『センサーの異常をこちらに送信する発信器』だ。
箱の面部分にレンズを嵌め込み、内側の装置が光を受ける様にして………」
手の平に収まる程の大きさの、向かい合う六面に穴の空いたサイコロを手に取り、それを割る。
割ると言っても、壊れた訳では無く、そもそもそういう構造になっていて、中を加工出来る様にしてある訳だった。
「完成系はこうなるんだが……」
割った箱の中にセンサーと発信機を詰め、真っ二つになった穴にレンズ……サイズ的にはガラス玉もどきをセットして再度箱を組み立てて、あっという間に完成させた。
「で、これだけの単純な魔道具なら家にやらせればいい。問題はここからなんだ、これが。」
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