気遣いをする孫娘と自称そこそこ天才
「面倒になったからと大事な所を省略するのは止さないか。
私はジーニアス=インベンター。『自称そこそこ天才の発明家』だ!」
「はーい
孫娘がシェリー君を制止しながら部屋の外へと駆けていくと、自称そこそこ天才のそんな訂正の声がこちらに響いてきた。
「おはようシェリー君。調子はどうかね?」
「教授、おはよう御座います。お陰様ですっかり……私はどれくらい眠っていたのでしょうか⁉」
そういって慌てて外へ出ようとするシェリー君を止める。
足の主導権だけこちらが確保出来れば如何という事はなく止められた。
「未だ夕刻だ。限界まで消耗していた状態からちょっとやそっと休んで急に動こうとしても何も良いことは無い。
逃げを選べない生物と休む事を忘れた生物はどんな間抜けよりも能無しだ。諦めてそこに居ると良い。」
「……解りました。」
物分かりが非常に良くて結構。
ま、毒爺を制圧した後、ここに戻って
ま、今まさにその生存本能を抑え込んで立ち上がってやらかそうとしたので、
「どんな感じかね?」
視線は調理中の食材に注がれているが、頭脳の大半は会話に注がれている。
「んー、取り敢えず顔色は良さげだし、話も出来てる。多分大丈夫じゃない?」
「未だ立ち上がっては……いないようだな?」
部屋の扉が閉まっている事を確認して安堵する。
「まーね。一応止めといた。流石に丸一日寝てたし、絶対不味いよね?」
扉の方に目をやって、聞こえていない事を確認した上で声を殺してヒソヒソと自称そこそこ天才に囁く。
「視覚情報は覗いていたが、明らかに命を削りながら動いている人間のそれだったな。もう少し休ませよう。でもって水を飲ませがてら食事が摂れるか訊いて欲しい。」
「はーい。」
そう言いながら水の入ったコップを手に駆けていった。
調理を続ける。何時もは一人分、よくて二人分なのだが、少しばかり最近は多い。
調理を着々と進めながら考える。
あれは多分学校で習ってる動きじゃないな。でなければ元プロの戦闘屋相手にこの自称そこそこ天才の魔道具を加えてもあそこまでは出来ない。戦闘関連は流石に専門外だから断言は出来ないが、矢張り多分そちら方面のプロから指南されているな。
「面倒な事になるかな?」
自家製の酒を鍋に振りかけて火柱を上げた。
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