スバテラ村の人たち
「一つ、この村の特産物について聞く事が出来ました。
他に、そうですね……この村の人について聞いてみましょう。
先ず、オーイさんはこの村出身で他所の土地へ出た事が無いと……あってますか?」
「んー、多分。
子どもの頃にもしかしたらここに泊まってた商人の人に何処かに連れてって貰った事があったかもしれないけど……流石にそこまでは覚えてないかな?
多分、家とかに貰ったお土産とかあるから、結構可愛がって貰ってたと思うんだよなぁ……。
あいつ等にも聞けばもしかしたらもっと色々聞けるかもしれないけど、ダメだよね……。」
「……あいつ等というのは、今朝騒いでいたという村の若者達の事か……。」
「そ。昔はそれこそ今の子ども達みたいに森で遊んで大人達に可愛がられてたんだよ。
今は可愛げ無くなって、なんか自警団ごっこをするようになって、で、ウノは特に単純で血の気が多いから、今朝の……先導役に抜擢されました。」
最初の歓迎の時、身元不明の男を介抱しようとした時、子ども達と森から帰って来た時、そして今朝。
若者故の無鉄砲さ、失敗という経験不足が招く思慮の浅さ、それが今朝、一人死にかける要因になった。
「大人連中は食べるので必死だから止める暇は無いし、他に若い連中って言えばちびっ子3人と私くらい。
だから止める人間が居なくて、でもって一部の大人は若者が外に稼ぎに行って帰って来なくなるのが怖いから寧ろ増長させたりもして、止まらないんだよねぇ。」
孫娘が何やかんやと言いながらカップを傾けて茶を啜る。
適応力が高いと言うべきか、図々しいと言うべきか、この孫娘もシェリー君を直前まで追い込んでいた側だった上に、つい先程まで驚きのあまり放心状態だった人間が茶を飲んで菓子を美味しいと言いながら楽しんでいる辺り、後者だな。
「彼らの他には村の方に若い奴や味方になりそうな連中は?」
「ドクジーくらいじゃない?なんか結構モリーの事気に入ってるみたいだし、昨日の件を手伝ってたから恩義は感じてるみたいだし。イケるんじゃない?」
それに対してシェリー君は首を横に振る。
「現状私はあの村で非常に苦しい立場に居ます。
先日の件も今回の件も私が犯人であるという確証はありませんが、心証として最悪。
私は数か月でこの村を去る身ですが、ドクジーさんはこの村の医療を一手に担う方として居続ける事になります。
この後私の印象を払拭出来る決め手がない以上、巻き込む訳にはいきません。
もし、これ以上の事が万が一起きたら、ドクジーさんだけでなく村全体の危機に繋がりかねません。」
既に最悪の状態。一つ小さな切っ掛けがあれば一気に崩壊する状況。今、危険な状況にある。
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