コズマ=ボンノーの伝説 13章
《翌日》
大工と警備官、それに医者は大忙しだった。
理由はそれぞれ、
嵐でも起こった様に徹底的に壊された建物を直すために。
直す途中、建物の残骸から見つかった禁制の品々に関して調べるために。
建物以上にボロ雑巾にされたチンピラ連中を死なせないようにするために。
となっている。
嵐の中心、発生源だった男、コズマ=ボンノー。彼は警備局で『こっぴどく』と表現するのがピッタリなくらいには怒られていた。
当然といえば当然だろう。彼のやった事は端的に言って本来警備官どころか人として有るまじき、許されない行為だ。
「ったく勝手に暴れまわってからに!」
「申し訳ありません。」
警備局の一室にて頭を下げる大男とそれに向かう髭の壮年。
「お前のお陰でてんてこ舞いだ。派手にやってからに……」
頭頂部を見てムスッとしながら髭を撫でる。
「覚悟は出来ています。今抱えている件を片付けたら直ぐにでも辞します。」
髭を撫でる指先が止まる。
「ふぅむ、何か勘違いをしているようだな。
俺がお前さんを呼んだ理由は昨日の深夜に行われた単独連続
お前さんのお陰でブタ箱が満室になって取り調べやら何やらでこっちはてんてこ舞いだと怒っているからに……」
髭の壮年。ボンノーの教育係だった男、現この街の警備官の長たる警備局長は髭を撫でてそう言った。
「は、いえ、俺は妻を傷付けられて私怨で暴れて…」「君の奥さんの件は聞いている。そして、その件は受理されて我々警備官の管轄となっている。その件の犯人は我々で捜査し、君にはその間別件を任せた。そして、昨日君は違法組織的犯罪を検挙し、その間に君の奥さんの件の犯人が出頭した。
それが事実、以上だ。
今回呼び出したのは、『張り切り過ぎは身を滅ぼすから程々に』という注意の為だからに。
お前はあくまで自分の職務を全うしただけだからに。辞めるなんて言わせんぞ。」
最後の一言だけ声のトーンが下がる。
暴力行為と器物の破壊は本来誰であれ許されない行為。が、今回の一件は壊滅した組織が悉く違法行為を行っていたために『警備官の仕事の一環』と見なされた。
「いえ、ですが……」
「やっちまった自覚があるんなら、次を考えろ。
お前の嫁や娘に関しては守るように対応がなされるから安心しておけ。お前は今以上に仕事に励め。良いな?」
「……分かりました。」
「じゃ、今日は家に帰れ。
昨日は
「有難う御座います。失礼致します。」
複数犯罪組織の検挙
警備局側は一晩で街の平穏を進めて終わった。
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