ダンジョンの冒険
「
「あの、教授?落ち着いて下さい。」
おっと、少し我を忘れかけた様だ……。
が、冒険心を思い出してくれたまえ諸君?
目の前には石で出来た大きめの空間。
そこから幾つか通路が伸び、松明の灯りが揺れているのだけが解る。
通路の向こうから人型モンスターのシルエットでも浮かび上がって来れば最高だ。
私の知識を遡る限り、これをファンタジーで見た事は有っても、現実では見た事が無い。
古代文明の遺跡に近い。しかし、遺跡は経年劣化で埃をかぶり、松明なんて気の利いたものは無い。
ここならばミノタウロスが現れたとしてもおかしくは無い。
嗚呼、アリアドネの糸が欲しい。そんな物無くとも建造物の構造を記憶すれば問題無いが………あぁ、蜘蛛の糸で構わないか。
「さぁ、冒険の始まりと行こう。
武器は装備したかね?回復アイテムは?気を引き締めて行こう。」
「………はぁ。
皆さん、何が有るか解りません。
随分強調したものだ。
「あぁ……そうさせて貰おうかナァ…。」
「慎重に。だにー。」
「ヌゥ……細心の注意を払おう。」
「ねぇねぇねぇ、今溜息ついた後で明らかに圧が変わってない?明らかに気圧されてない?」
「うーん……………触らぬ神に祟りなし。ここは沈黙が金かのー?」
各々気を引き締めて武器や持ち物を改め始めた。
「教授?」
「?どうしたのかね?」
「
「ハハハハハハハハハハ……ソンナコトスルワケガナイジャナイカ。シンライシタマエシェリークン。」
うーむ……………先手を取られてしまった。
当初の予定ではミノタウロスを探して、それらしきものが居たら迷わずシェリー君の体を奪って突撃するつもりだったのだが………無念だ。
「教授、取り敢えず落ち着いて下さい。
ダンジョンや秘境魔境、それに未開の地ならこの国や国外に幾らでも有ります。
もう諦めたので、そちらにいずれ参りましょう。」
「何を言うのかね?私は至極冷静だとも!
が、それはそれとして、言質は取らせて貰った。」
楽しみにさせて貰おう。
「では、皆さん、準備はよろしいですね?」
五人が力強く頷く。
「では、参りましょう。
宝探しの始まりです。」
胸躍る台詞と共に6人の冒険が始まった。
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