真の天変地異
何故、あの三人が9階のシェリー君の部屋と6階の部屋を勘違いしたか?
決まっているだろう?私がそうするように仕向けたからだ。
三人を追いかけるランプ?シェリー君の体を借りて実際に三人を追いかけただけだ。
他のランプの灯りは、幾つか要所要所に小さな手鏡を置いておいただけだ。
ランプで通路の先や階段を照らそうとすれば、丁度その光を反射させて反射するランプの光を作り出し、まるでそこに誰かが居る様に見せかける幻影装置として働く………ね。
後は三人が宿舎を縦横無尽に走って階数を忘れる様に仕向けた後、6階の細工済みの階数版の下に来る様に追い立てた。
そして、ここでシェリー君に頼んで魔法を使って貰った。
魔法の種類は『幻覚魔法』。内容は『9』と表示された板を『6』に見せかけて欲しい。というものだった。
そう、そこは6階。しかし、階数板には『9』と記されていた。
私が細工をして『6』と書かれた板を逆さまにして『9』にしただけだ。
三人が居るのは6階。そして、幻覚で階数は
その状態で幻覚から逃れた場合、実際の回数は6階だが、階数は9階だと思い込む。
三人は私に良い様に弄ばれ、手痛い目に遭ったが故に様々な事に疑いを抱いていた。
しかし、その状況下で、自分達でトリックから逃れた事で『トリックは破ったのだから、これが正解だ。』と確信してしまった。故に、魔法を囮にして隠してあった簡単な数字の逆さまトリックに気付けなかった訳だ。
「にしても、こんな酷い事をするだなんて………………
煙を吸わない様にしながら階段を降りるシェリー君は私にそう言った。
この火事を私が予想していなかった?馬鹿な。火を着けたのは三人だが、この事態を引き起こしたのは私だ。
三人を6階におびき寄せた物とは別に、木の実を拾い、贋作教科書を作るついでに放火された時に被害が甚大かつ死者0名になる様に、私が6階のそこら中に燃焼促進剤を仕掛けておいた。
贋作教科書の製作に使った染料。アレは燃えやすかったのでね、ランプの油と組み合わせて6階の通路に導火線のネットワークを仕掛けさせて貰った。
数日後、三人組が燃やしに来るであろう部屋を中心として、建材の溝や穴に油や染料の元の葉の欠片を詰め、燃えた時にすぐさま延焼するようにしておいた。
この宿舎が夏季休業で使えなくなるように。
延焼して校舎にもダメージを与える為に。
シェリー君の、夏休みの為に。
三人には犠牲になって貰おう。
「教授、ここから先は…」
階下から炎の光が漏れる。
「アシストしよう。姿勢を低く、走り抜けたまえ。」
シェリー君はその言葉に従い、炎猛る階下へと身を投じていった。
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