二章完?
ガッ!
木剣を弾きながら剣嬢の足を蹴飛ばす。
「クッ!!」
予想外の攻撃に一瞬怯む。
頭が下がる中、剣だけ構えて頭を庇う。
視界が無い状態で頭以外は斬らせる気かね?
ガチッ ザッ!!
木剣を握る手を斬りつつ下がった顔面に砂を蹴飛ばす。
「あっ!」
剣嬢が木剣を落とし、両手で顔を覆う。
左右の頸動脈を切断
肋の間から心臓、肺をそれぞれ一突き
更に両手首をそれぞれ一閃
後ろに回り込み、アキレス腱を切断後、背中をバッサリ
木剣を握る手
逃げる足
生命維持に関する主要臓器と血液を失い、どう考えても致命傷。
勝った殺した。
「うぅぅ…卑怯者!!」
「教授、やり過ぎです!」
内外から非難業々。
「そうは言われましても…
これは実践を前提とした剣負ですよね?
ならば、卑怯などと言えはしません。
卑怯でもなんでも、殺したら文句は言えませんよ?」
本気で言った。
何も疑問を持たない人間のように。
「木剣を持っているから木剣しか使わない、等と言う甘い先入観を否定せず、習った素人剣術をひけらかして油断した結果。それがこの状況です。
実践では待ったも卑怯も有りません。
死んだ奴が負け、生きている奴が勝ちです。」
何度も言うが、「他人を害すならば害される覚悟もしておけ。」という話だ。
「調子に乗るものではなくってよ!」
カーン
背後から不意討ち。
ナクッテ嬢か。
「後ろからの攻撃は、無言で殺るものでしてよ。」
ドッ
木剣をひっくり返し、逆手に持ち、ナクッテ嬢の鳩尾に一撃。
「アァ…」
崩れ落ちた。
さぁて、2章はこれで御仕舞いかな?
「ミス=シェリー=モリアーティー!!
何をしている?」
未だ御仕舞いでは無いらしい。
声の主は剣術の教師。
目線が何時でも「上から」な如何にも人を見下した、鼻息の荒い不細工な筋肉。
筋肉を否定はしない。
しかし、あの筋肉の付け方は不細工極まる。
「ミス=シェリー。
見ていたぞ。」
見ていたなら何故止めない?………訊くまでもない。
「2人の貴族令嬢相手にお前は何をした!?
暴行とは見下げ果てた愚行。
下民の身の程を知れ!!」
「シェリー君、そういえば、あの教師は誰かね?」
呆れながら問う。
「……剣術のミス=パウワン。
元傭兵から貴族になった家の令嬢です。」
ハハッ!!成り上がりさんか!
ご機嫌取りに私を虐めてついでにストレス発散か!
小物3匹とは面白可笑しい!!
「シェリー君、ハハハ…こんな小物、ハハハハハハハハハハハ!!」
「教授!ふざけないで下さい。
ミス=パウワンはあれで剣術のプロです。
指導も厳しく、とても逆らえるような…」
「ハハハハハハハハハハハ!!
笑わせるなシェリー君。」
「………………」
恐がらせてしまったか。
「たかが脳筋の教師だ。
『逆らえない』とは幻想だ。」
子ども相手に『先生』と呼ばれて威張り、その癖権力に胡麻をする三下風情の何処が逆らえない? 虐めを諌めるべき存在のクセに虐めに加担する学生擬きの何処を恐れる?
あと数年。下手をすれば一年。
私の指導を受けたシェリー君が私のように、私が居なくとも、目の前の脳筋を倒せるようになるまでの時間だ。
一年で越せる相手なぞ脅威ではない。
なにより。
「この私を恐れぬ胆力の持ち主があれ程度を恐れるのは≠。矛盾している。
見ていたまえ。」
大学を出ただけの小娘がこの私に勝てるなど思い上がりだと言うことを証明しよう。
「身分を知らんとは…その性根叩き直してくれる。
実戦訓練だ。構えろ!!」
生徒に木剣を突き付ける阿呆め。
次元の違いを教えてくれる。
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