第12話 アイリスの武器
仕切り直しのあと、アイリス達と卑裏悪が対戦。かわいらしい少女と痛々しい男。観衆の声援は、当然、アイリス達に集中する。
「東方。赤の勇者、あああ!」
「何だ何だ!」
「なんて良い加減な名前だ!」
「すっこんでろぃ!」
思わぬ野次に、あああは怖気付く。
「西方。白の戦士、アイリス!」
「良いぞ良いぞー!」
「俺の女神様!」
「ア、イ、シ、テ、ル!」
アイリスは、声援を受けジェスワッサー王国にいた頃を思い出す。だが今は、王女としてではなく、異世界に暮らす一攫千金を狙う戦士として振舞わなければならない。だから、台の下で右手を大きく突き上げて、観衆をさらに煽る。
「良いぞ良いぞー!」
「一発で仕留めろよ!」
「負けるなー!」
「頑張れー!」
4つ脚のアイリス。果たして台の上に登れるのだろうか。観衆の注目は、一旦、作りもののうしろ脚に集まる。不戦勝を4度も見せられているから、不安で仕方ない。観衆の誰もがアイリスの登壇に期待する。アイリス自身は、気にするそぶりもなく、軽々と壇に飛び乗る。
「よっ!」
その注目は、一瞬にして変化する。それまではうしろ脚。それが今は……。
「千切れちゃったら……。」
「……勿体ない!」
「そんなに乱暴に扱わないでくれ」
今はアイリスのおっぱいに釘付けになっている。無論、衣装の上からではある。だがそれでもその大きさ、重量感というのは、充分に伝わる。その直後、場内は盛大な拍手に包まれる。
ーーさぁ、壇上の両者にご声援をお願いいたします!ーー
言わずもがなであるが、言われれば、より一層の声援となる。
ーーレディー、ドッグファイト!ーー
掛け声とともに両者が後方にお尻を突き出す。同時に、ケンタウロスみたいなミノタウロスは、前方におっぱいを突き出す。老若男女、誰もが正面から見たいと思った。そのときである。
「あああー!」
自己紹介をしたわけではない。断末魔の叫びだ。あああは、あえなく落下した。
ーー勝者、おっぱい!ーー
闘技場は大歓声に包まれた。はじめは登壇さえ危ぶまれたアイリスだが、持ち前の運動神経でぷるんと登壇したかと思うと、安定感抜群の4つ脚で、あああを瞬殺。続くああい、ああう、ああえも、瞬殺してしまう。闘技場全体が大きく揺れた。
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