豊崎さんには秘密がある。

アイアン停電

第1話 プロローグ

 

 ――こういう場合、一体どうすればいいのだ!?


 俺は今、ファンシーな内装の広々とした一室の中心で胡座をかいて座っており、眼前には艶のある長い黒髪を三つ編みにしてひとつに束ねた黒縁眼鏡の美少女が、純白のランジェリー姿で女豹のようなポーズをして俺に迫っていた。


「……神崎くん、もういいですよね?」


 四つん這いになった彼女が、獲物を狙う女豹のように近づいて来るたびに、重力に従い下へと垂れ下がった豊満なその胸が左右に揺れていた。

 そんな艶めかしき姿の彼女を見て、俺は後ずさりしながら片手を突き出す。


「お、落ち着け豊崎!? 流石にいきなりそれは――!」


「ハァ、ハァ……ごめんなさい。でも、もう私……我慢できないんです!」


 彼女はそう言うと、興奮した様子で呼吸を乱し、勢いよく俺の上に覆い被さってきた。

 そして、そんな彼女の背中と尻には、が生えていた。


「か、神崎くん……さぁ、早く」


 官能的な声音と仕草でソレを催促してくる彼女こと『豊崎詩音とよさきしおん』に、俺は狼狽するしかなかった。


 しかし、一体どうしてこのような事態に俺が陥ったのか……それは、今から数週間前に遡る――。

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