第40話:喋らなかったら魔王様に幹部だということを忘れられた……辛い
わしの名はライ蔵……古くより前魔王様にお仕えし、序列三位に君臨した獣王だ。
「お前喋ると可愛くないな」
新しい魔王様に代わってすぐに、こう言われた。
それから頑なにその指示を守ってきた。
その結果、ただの獅子の置物になってしまった。
「…………」
「あっ、ライ蔵殿いらっしゃったんですね」
しばしば行動を共にする絶倫ですらこの有様だ。
そして、有事の際に呼ばれる事も殆ど無い。
肉食獣が戦ってもなんの面白みもないし、イメージが崩れるとのことだ。
魔王様は獣王にどのようなイメージを持たれているのだろうか?
そして極めつけが先の模擬戦だ。
会議の場で魔王様が唐突に我らに強さを問われた。
それから、2回指を鳴らされると幹部の面々が酷く憔悴しきっており、魔王様がそれを見てケタケタと笑っておられた。
その後絶倫他のメンバーに子細を聞いて理解はいったが、納得はいかなかった。
わしと戦っても、本気が出せないとのお言葉であったが、わしは根っからの戦闘民族。
わしから闘いをとったら何も残らぬ。
「おい、ライ蔵難しい顔してんなー。やめろやめろ! 可愛くないから」
考え事をしてたら、通り掛かった魔王様に鬣をワシャワシャされた。
とても、気持ちいい。
そうではない!
「どうした? 悩み事か? 考えるのなんてやめちまえ! 剥げるぞ!」
「いえ、魔王軍にとってわしは……魔王様にとってわしはなんなのだろうかと」
「そりゃマスコットだろ? 今度一緒に町の学校に授業しに行こうぜ」
解せぬ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます