第5章 5人目
第48話 週が明けて・・・
週が明けて今日は月曜日。
今日の俺たちは普段通りの登校だ。
「・・・あのさあ、もしかしたら正門前で唯たちが登校してくるのを大勢で待ち構えてるかもねー」
「あったり前よねー。あれだけ大盛況のライブだったもんねー」
「もし途中で『サイン下さい!』とか言われたらどうしよう」
「しちゃえばー。どうせ昨日はサインの練習をしてたでしょー」
「あー、バレたあ?」
「どれだけの紙を使って練習したのか私は知らないけど、100枚じゃあ済まないよねえ」
「紙だけじゃあないよー。ノートも片っ端から書きまくったよー」
「ユイ!あんたさあ、紙の無駄遣いよ!」
「大丈夫大丈夫。どうせ裏紙と古いノートだし、古紙リサイクルに回す物ばかり使ったからさあ」
「それを使えばバレずに済んだと思ったのかあ! (#^ω^)」
「気にしない、気にしない」
「『暖簾に腕押し』かよ!?」
「そういうアイこそ、脱衣室の鏡の前で何をしてたのかなあ?」
「・・・さ、さあ、何の事ですかねえ ♪~(´ε` ) 」
「自分で自分に向かって握手会の練習をするなんてさあ」
「だ、だれの事を言ってるのかなあ (^^ゞ 」
「ま、唯も正直に言うけど自分の部屋で練習してたからね」
「人の事を言える立場かよ!」
「アイのように鏡の前で堂々とやる度胸が無かっただけでーす」
はーーー、お前らさあ、俺がいない時にそんな事をやってたのかよ!!
えっ?昨日の俺は何をしていたのか?
あー、それはですねえ、土曜日のライブが終わって片付けも済んだ午後3時頃だったかなあ、いきなり俺のスマホに古橋から「山下がダウンして人数が足りなくなったから今すぐオレの家へ来い!」という超KYな電話があった。俺は本音では断りたかったのだが「オレたちは山羽と本多からライブに来いと言われて、わざわざ『うなパイファクトリー』まで行ってたのに、お前は来なかったから拒否権は無い!」などとブーブー言われ、やむなく、土曜日の夕方から昨日の夕方まで古橋の家で『24時間マラソン麻雀』をやっていたのだ。
俺は裏方として一度もライブ会場に顔を出してないから、古橋を始めとした連中は勘違いしていたのだけど、それを言ったところでどうしようもないから俺は渋々だけど参加した。メンバーは古橋、知念、室伏、俺の4人で、半荘の最下位は古橋の家の真向かいにあるセブンシックスまで行って菓子やジュースを買ってくるというパシリを賭けた実に阿保らしい事を24時間!延々とやっていた。金ナシ、女ナシ、やる事ナシ、だけど時間アリの高校生男子らしい遊び(?)だが、
最初のうちは体力があるから問題ないのだが・・・夜が更けて・・・明け方になって・・・外が明るくなって・・・だんだん集中力が途切れる時間帯になるとチョンボが続くようになる。とにかく、休めるのは半荘が終わって場所替え&センブンシックスに誰かがパシリに行ってる時間帯だけ!パシリに行くという事は貴重な仮眠時間を削るという事だから、とにかく四人とも最下位だけは免れたいから必至だったのだ!!
「チー!」
「あー、それ、俺、ポンだぞ!」
「うっせー!オレはロンだあ!」
「「「室伏、フリテンだぞ!」」」
「うわー、やっちゃった・・・」
「ツモー!」
「はあ?古橋!オレのツモ順を飛ばすなあ!」
「えーー!コレ、マジで
「うっせー!さっさとチョンボの点棒を出せー!」
「「そうだそうだあ!」」
「はああああ・・・折角の役満が・・・」
「ロン!」
「はあ?知念!これ、役無しだぞ!!」
「えっ?・・・うわ、全部
「ロン!・・・ドン橋渡ろー、渡ろー」
「「「拓真、チョンボねー」」」
「はあ?俺はただ単に歌いたかっただけだあ!」
「「「下手な寝言を言う前にサッサと点棒を出せー!!」」」
もう日曜日の昼前後になると全員ロクに頭が回らなくなってチョンボの連発で順位の変動が凄まじく・・・俺は知念との総合首位争いを制して優勝したけど、屈辱的な総合最下位は、古橋がホントにオーラスの南4局で室伏から満貫ロン上がりした事で逆転し、室伏が憮然とした表情で最下位の罰ゲーム(?)『部屋で食べ散らかしたカップ麺や菓子の袋、ジュースの缶やペットボトルといったゴミを全部片づける』をやらされた。
ま、まあ、お金や物を一切賭けてないのだから、見方によっては健全な遊びだ。(はあ?どこが健全だあ!!)
えっ?総合優勝の賞品?あるわけないだろ!!
結局、俺は日曜日の夕方に家に帰った後は、夕飯も食わずにシャワーしたら爆睡してたから、藍と唯がライブが終わってから何をしていたのか全然知らないのも当たり前だ。
藍は唯に文句を言いつつも顔は最初からニコニコだ。普段のクールな藍とは全然違うという事は、藍も唯と同じようにサインの練習をしていたのかよ!?恐らく来月の廃品回収の時には大量の紙が出てくるのは確実だよなあ、とほほ。
でもさあ、二人とも肝心なことを見落としてるよなあ・・・
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