第55話『駄菓子屋なのじゃ』


 ここは……婆っちゃの駄菓子屋……


「酷いのじゃ……」


 シャターは半分閉まってるのじゃ。黄色いテープが入り口を塞いでいるのじゃ。

 えっと、けいさつ、がいっぱいいるのじゃ。


 メルは、そっとその場を離れ、一人暗闇を歩いて行くのじゃ。この辺りは街頭も少ないから、とても暗い。あ、ここは……


「……っ……ゔっ……な、ん……!?」


 な、なんじゃ!?


「や……め……」


 駄目じゃ、力が強くてっ……抵抗……


 荒い息づかいが聞こえる。痛い、そんな無理矢理に腕をひねったら……お、折れる……のじゃぁ……


「メルちゃん、メルちゃん、メルちゃん、メルちゃん、メルちゃん、メルちゃん……」

「……っ!?」


 この……声……


「メルちゃんメルちゃんメルちゃんメル……」


 触るな……なの、……じゃぁっ!


「はぁ……はぁっ、メルちゃん……忠告、ちゃんと聞いてくれたんだね。偉いね〜、これからはっ」


 息が……口を塞がれて……


「これからはずっと一緒だぁ、ずっと君を見ていた、メルちゃんが必要なんだ……だから、少し我慢っ……してね……?」

「ゔぅっ……」


 い、意識……が……たす、け……




 …………ゆう、と




 ……助け……て……悠、……

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