ヒーローは遅れずやって来て!
Q.何故、両手に得物を持っていた?
A.自分ともう一人の分。二人分を持っていたから。
Q.何故、得物の使い込まれ方が違っていた?
A.一つは自分が愛用していたから。そして、もう一つは素人用の新品だったから。
Q.何故、その男は逃げていたように見えた?
A.囮を使って必死に逃げていたから。
つまり、あのクソ髭は素人を囮に収穫をしようとしていたって事だ。
何にも知らない奴に新品のノーグ持たせて気を惹かせて、その間に収穫しようとして失敗。
囮が捕まってノーグだけを回収して、その隙に逃げて来たって訳だ。
何故ノーグを回収したかって?
意外とアレ高いんだよ。
対農作物用だから割と扱いが悪くても壊れない様な頑丈性が必要だし、相手が植物だから防錆加工も必要だし、何より、農作物と張り合う為に最新の技術や伝統技法をふんだんに使っているらしい。
囮よりそっちが大事だったってこった。
俺らに助けを求めることが出来たのに、しなかった。
バレたくなかったからだ。
似非農家は重罪。罰されるからな。
黙ってりゃ農作物が証拠を喰っちまうと考えたんだろう外道が‼‼
「クソ野郎!後で追っかけて刻んで農作物の餌にしてやる!」
「馬鹿野郎。喋ってる間に足動かせ。感情移入は解るが、冷静に、速く。
お前のような奴は減らしたいだろ?」
鎌爪さんの言葉が少し、俺を冷静にした。
俺がやられたことは忘れない。
未だにタケノコは嫌な思い出がよぎるがギリセーフ。
でも青竹は怖い。
アイツの所為でタケノコご飯食べる度に苦みが口に広がるようになった!
エグみじゃないぞ!苦い思い出の味だ!
私怨が、憎悪の火が、燃え上がる。
しかし、それ以上に、悲劇を増やしたくないとも考えていた。
「………早く助けて美味しい南瓜で上書きしてやりましょ。」
「あぁ、行くぞ。この先だ。」
鎌と鍬を持った農家達は舗装の風化した、足場の悪い木々の間を、最短距離で突き進んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます