袖振り合うも多少の怨

 「いやぁ、大量っすね。」

 南瓜を一度解体してトラックに運ぶ。

 何故かトラックだけだと農作物は襲ってこないからだ。

 「このペースだと…あと、二~三匹はイケるか?

 まぁ、と言っても、ねばならない訳じゃない。

 これだけでも十分だ。

 何より、明日も全員、元気に収穫が出来てこそ。無理はするなよ、お前達。」


 全国の枯れ専&漢に憧れるボーイズ!

 ここに最高にカッケー漢が居る!

 最高のロマンスグレーが居る!

 鎌を両手に、中々ワイルドなハンターが居るぞぉ!

 マジ鎌爪さんのトコホワイトォ!

 ………………足手まといでなくなったら正社員もアリだな。



 そんな風に俺の心が鎌爪さんの唐箕ガンに撃ち抜かれていると、俺達が来た方向から男がやって来た。

 木々が生え、森擬きになった方から、誰かが走ってきている。

 ここは千歯扱きの外。

 トラックはアスファルトが無事あるところに止めている。

 向うに有るのは南瓜の生息、生育(?)地だけ。

 アレも農家さんかなー?

 そんな風に思っていた。



 ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ



 髭面の男だった。

 そこら辺に居る、ジャージを着たおっさんだった。

 ただ、農家だとは思った。それは今この場に居るから。というだけでなく、ノーグを持っていたからだ。

 俺が鎌爪さんに初めて渡されたノーグ。鉈(切断式狂暴農作物収穫機:not agricultural cutter)だった。

 懐かしいなぁ。しかも、二刀流。

 カッコいいなぁ。


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