エピソード0:タケノコ狩りに行こう。18

「で………なんとなく手伝ったけれども、鎌爪さん…あなた、何者です?」


タケノコフィーバーで我を忘れかけていたが、そういえば、この人誰だ?


俺が手こずっていた青竹を容易く狩り、タケノコの生態を知り、今のところ、親切なこの人。


さっきの外道とは違う人種のようだが………。


「俺か?俺は………鎌爪でいい。 改めてだが、農家だ。」


同職で数刻前に見棄てた輩がいるだけに信じがたい。


…………!まさか、この男もグル!?


飴と鞭を使い分けた新手の農業詐欺?


「因みに、お前を見棄てた輩とは違うぞ。


俺は全うな農家だ。」


そういいながらタケノコを巨大な風呂敷擬きに載せ始めた。


「タケノコが時期だからな。放っておくと青竹になる。


収穫ついでに芽を摘みに来たらお前がいた。」


俺の知る物言わぬ竹は成長が矢鱈速い。


タケノコが直ぐに竹になる。


今もそうなら放置即モンスター軍団に直結だな。


「で、収穫ついでにお前を見つけて、ついでに助けたわけだが………」


ついでかよ。


まぁ、助かったわけだが。


「農業に興味が有ってノコノコここまで来たのか?」


「いぇ。ただ、面白そうな経験だと思ってつい……ブラック(ブラッド)なバイトと知らずに………」 「面白そう………ねぇ………」


呆れたような、見透かそうとするような目。


当然だ。本職から言わせたら侮辱だろう。『面白そう』なんて………。


「採用しよう。


お前さん。内に来い。


農業のバイトなら歓迎しよう。」 ?


はい?


採用て?



「?」


「興味を持つのは歓迎だ。


が、生半可な覚悟では農業なんて出来やせん。


見るといい。農業…農家の仕事を。」


いきなりだ。


さっきはいきなり死にかけ、


現在いまはいきなり誘われた。


今日を日記にしたら凄そうだな。


ただ……………


「いや、今は少し………」


「嫌なら帰りは徒歩で構わんぞ。」


悪戯っぽく笑う鎌爪。


拒否権。無し!!










おめでとう。




『クロメイカ』は


『フリーター』から


『アルバイト【農家】』


にジョブチェンジした。


称号【怒濤のエピソード0覇者】 を手に入れた。


(テレレレレン テン テーン)


懐かしのメロディーが流れた。


ステータスアップ。したかな?











※この作品にステータスシステムは存在しません。

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