そう、全てはここから始まってしまった。この時。もし俺が召喚されなければ悲劇は決して起きなかった。

この時まで、俺は最強最悪の悪魔として振る舞い、悪魔らしく無垢な娘を騙し、その魂を奪えると思っていた。そう、思っていたんだ。

前話の奇声の声の主を明かさねばなるまい。そして、その奇声を声の主が発した理由も自ずと説明しなければならない。

この時の俺は戦慄していた。人間の中には「裏切りを絶対に許さない、裏切ったら確実に相手を殺す殺し屋」なる者が居ると聞いていた。もしかしたらこの聖女も裏切った者に死を与えるかもしれないと思った。

健全。その言葉がタグなのには意味が有る。これがその意味だ。そう、健全。この娘はいたって健全である。健全な魂に健全な肉体を持った娘であった。そして俺にも悪意が有ったわけでは、悪意が有ったわけでは…

間抜けな事に契約に縛られることになってしまっているが、俺は最強で最凶で最恐な悪魔だ。覚えておいてくれ。悪魔さんとの約束だ。いいか。忘れないでくれ。

この盗賊共、中々悪くない。襲う場所を調べ上げ、最も有効な方法で混乱に陥れ、それと同時に略奪もやってのける。実に手強い集団だろう………。俺が相手で無ければな………

どんな美徳と言われるものであれど、突き詰めて最終的に到達するのは紛れも無い狂気だ。この娘の許しの心は、見方によっては恐怖でしか無いのだろう。

最期の時。これをどう過ごしたかは言わないでおこう。言わぬが花だ。ここまで色々やったんだ。苦労の1つ二つ変わらない。最期くらいはサービスをしてやろう

お仕舞。しかし少し付け足そう。悪魔の続きと聖女の終わりのその続き。　という訳でもないが、少し残った部分を、少しだけ加えるとしよう。　なに、直ぐに終わる。

少しの間、屈辱に耐えれば……………。止しておこう。これ以上色々話すと最終回のその先の理由が解ってしまう。

勇者…ツボ割り職人の事。チート勇者は異世界転生者が成り過ぎて飽和状態。よく「なろう系勇者」であると言われてディスり対象になる。最近勇者が多すぎてヴィランは不憫なポジションになりつつある。

穏やかな牧草の中。魔物は躍る。勇者は躍る。そして悪魔は躍り、聖女も躍る。如何に暗躍、活躍するかは言わないがな。

基本設定を確認しよう。この娘は決して武道の達人でも無ければ偉大な魔法使いでもない。俺の力が加わる。とはいえ、娘は決して俺の力を十全に引き出すことは出来ていない。

この話の最初の部分は誰にも話すな。墓まで持ってくまでも無く、忘れろ。　そしてここからは謎を解決すべく俺達は推理小説の警察官よろしく情報収集。聞き込みを開始する事になる。

前の話の伏線的なもの。この街の奴等は魔物を脅威としていて、牧場の牛が被害に遭っている。そんな中で俺達が浄化をして来たんだ。つまり、被害を帳消ししたんだ。そしたら向こうの反応は何となく察しが付くだろう。