デミウルゴスと幼女とひらめき

「よいしょっと」

ツアレが馬車から降りると、目の前にはとても可愛い小さな女の子がいた。


そして、小さな女の子はデミウルゴスの陰に隠れてツアレの様子を眺めていた。

「小さな人間よ、前にも言いましたが私にくっつかないでください。離れてください。」

呪言を使えない状態のデミウルゴスは、やっぱり幼女の対応が苦手だった。


緊張しているツアレは、そんなデミウルゴスの様子を見て、少し緊張が解けたようだった。

(ふう・・デミウルゴス様は小さな子が苦手なのかしら・・?)


「ではツアレ、あの女の子とお話して頂けますか?」

セバスがツアレの背中を優しく押した。

「はい!セバス様、大丈夫です!話しかけてみますね」

ツアレは笑顔を作って、女の子に近づき話しかけた。


「こんにちは、はじめまして。私はツアレといいます。よろしくね!」

ツアレ自身はうまく話せたと思った。


しかし話が通じないのか、女の子はこちらを見つめるだけで反応がなかった。

前に出てきた女の子は、再度デミウルゴスの後ろに下がってしまった。


(・・・あれ?全然女の子の反応がない・・何か話し方間違えちゃったかな・・・」

ツアレは最初の話しかけを失敗したことに気づいて不安になりはじめる。

冷汗がツアレの背中をつーっと垂れる頃、セバスは女の子に話しかけていた。


「はじめまして、お嬢様。先ほどは失礼致しました。私の名前はセバスと申します。ツアレと同じ職場で働いております。どうかよろしくお願い致します」

セバスは小さい女の子の前で跪き、自己紹介をした。


(セバス様、かっこいい・・・。まるで貴族の方へ自己紹介してるみたい。)

ツアレはセバスの自己紹介に見惚れいた。


すると女の子はセバスに近づき、セバスの頭を撫でた。

「あなたは、ドラゴンさんなの?おじいさんなの?」

幼女は素直に思ったことを尋ねた。


まさか女の子に頭を撫でられると思っていなかったセバスは一瞬驚いたが、表情に出るほどでもなかったので、いつもの人間に答えるように話した。

「お嬢様は面白い方ですね。私はただのお爺さんですよ」と微笑む。

(・・ふむ、私の正体に気づくとは・・この女性は将来化けるかもしれませんね)


セバスに少しだけ興味を持った女の子は、ずっとこちらを見つめていた。

「お爺さん、わたしはね~ドラゴンさんよりかえるさんが好きなの~」

女の子はデミウルゴスにピタッとくっついて、ニコッと笑った。

「だから、私にはくっつくなと言ってるでしょう!小さき人間!」

やっぱりこの人間と話すのは難しいと感じたデミウルゴスだった。


このままだと話が何も進まないので、デミウルゴスが顎でツアレに指示した。

「かしこまりました!デミウルゴス様!」

ツアレは何としても今回の仕事はクリアしたいので、話しかける以外に女の子の心を開く方法を考えた。

(デミウルゴス様はお急ぎの様子だし、話しかけるだけじゃ時間が掛かるから・・ええと私が小さい頃にしてもらって嬉しかったことは・・・)


デミウルゴスが動かないツアレに対して、しびれを切らしそうな頃・・・


ツアレは閃いた!!


「そうだ!みんなで美味しいご飯を食べに行きましょう!!」



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