賢者と4人

「これは………………」


「まぁ……………………」


「ホォ…………………………」


「スゲェ!!流石賢者!!」


3人の絶句と1人の称賛。


それに気を良くしたのか賢者は得意顔。


「でしょでしょ!?凄いでしょ!?


でも、これの凄いところはこれだけじゃないの!!」


そう言って鞘から刀身を抜いて見せる。


刀身は真っ黒。一見錆刀に見えなくもないが、不自然なまでに光を放たない黒さと、その刀身に刻まれた紋様、そして切っ先の奇妙な穴が、それを否定し、禍々しさを全肯定、誇示していた。


切っ先に開いた穴は刀身を貫通していると思っていたが、どうも違うようだ。穴の先が見えない。


「ブラッドブリード。この魔剣が真に魔剣なのはここ。」


そう言って刀身を自身の指に滑らせた。あっ!と一同が驚く中、賢者のか細く、白い指から鮮血の線が走り…………………奇妙な事が起きた。


血が落ちない。


地面に滴り落ちる筈の血が刀身をつたっていった。


天を指す切っ先目掛けて血が逆流していく。


血は刀身の紋様を浮かび上がらせる。


「賢者様………それは、もしかして……………」


テポンの顔が青ざめる。


「ホォ…」


ジョゴローが椅子から立ち上がる。


「何だ!?何だあれ!?」


「何?何なの?」


年長二人は何かを察したらしい。しかし、若者二人は解らない。


しかし、二人の恐怖の顔を見て大体は解った。


ここまで恐怖の表れたのを、二人は見たことが無かった。


「我、汝を求める者、我、汝を呼ぶ者、我が血と契の楔に応え、顕現せよ。」


指から流れる血が激しく刀身を流れ、紋様が怪しく光出し、血が切っ先の穴に吸い込まれて消えていく。


「皆さん、気を付けて!!悪魔です。しかも高位の!!」


テポンが注意を促す。


「こりゃ洒落に成らん。ゴーレムなんざ人形遊びだ。」


何時もの口癖を忘れるジョゴロー。


「悪魔!!見たこと無い!!」


「悪魔ですって?」








『悪魔』


人間の世界とは違う世界に住む高位の精霊。


知能も力も人間とは正に異次元。


稀に低位の悪魔が召喚されることがあるが、その時は町や都市が消える。


正に天災である。




テポンが正しいなら、高位の悪魔が今から召喚される。


低位で都市消失。


なら、高位は?










血が凄まじい勢いで刀身を濡らし、穴に吸い込まれ、光は増す。
















切っ先の穴が血を全て吸い取り、光が止まった。


代わりに切っ先の穴が怪しく光る。


賢者が刀を一回転。


「汝はアクラギアシス。我の僕。出なさい。」


空中に切っ先の光の軌道が残り、輪が出来上がった。








何かが飛び出した。


















輪の中の空間が、何かに押され、飛び出し、破れた。


その中から出る黒い靄。


それが破れた空間から外に出ると、形を作り、姿に成った。












「御呼びで御座いましょうか?我が主。」


姿が膝まずき、賢者に問うた。




4人は『それ』に戦慄した。


手足が鉛の様に重くなり、抵抗する意志が潰える。


そこに居るのが何かは知らないが、確実に恐怖だと感じた。


「一緒にお茶会しない?アクラギアシス?」

















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