一騎討ち後の真の大事件 2章
「王よ!お待ち下さい!今一度、今一度お考え直しを!」
口を開いたのはシモン。
予想してはいたが、余りに酷だ。
「騎士団長、王に対して不敬ですぞ。」
口を開いたのはドンキル。
「今回、私の許可なく勝手に隣国の野蛮人共と勝手に戦い、私の罪無き民を危険に曝したのがこやつ。
信賞必罰。当然のことです。」
この狸、否、豚親父、しれっと、デネブさんに責任全部押し付けた!
しかも、「私の罪無き民」、「野蛮人」……って。
「ドンキル様。それは違います。今回、彼が戦ったのは、アーマスの人々たるアマゾネスの侵攻を食い止めるべく行った最善手でした。 もし、彼が一騎討ちに持ち込まねば多くの血が流れたでしょう。 彼は何時に無い非常事態に冷静に、民と部下を守るべく対処した知将。
彼を処罰するのは得策ではないかと愚考致します。」
「フン、高々騎士の分際で何を言うか。
所詮はただの傭兵クズレ。
元平民の浅学恐れ入るな。
騎士団長風情がこの場で口を利く等おこがましい!」
「ドンキル様、撤回を。
我が浅学は認めましょうが、王より賜りし『騎士団長』の名を汚すのは許されませんよ。」
「おー怖。腰の物で威嚇なぞ、まるでアーマスの野蛮人の様ですな。」
「何!?」
頭に血が昇ってしまう。
「双方、口を閉じろ。」
頭の血が足元まで落ちていった。
狸も同様に口を閉じる。
「ドンキルの言うことは最もだ。『信賞必罰』。正にその通り。」
「有り難き御言葉。」
「………………っ!」
狸がニヤリと笑った。
この……斬ろうか!?
「シモン。お前は純粋で誠実。真面目で実直だか早計過ぎる。
ここは戦場ではない。
今度からはこちらの話を最後まで聞いてから反論をせよ。」
「申し訳………ありません。」
勝ち誇った顔が見える。
しかし、気になることを言っていた。
今、王は『最後まで聞いてから反論せよ。』と言った。
つまり、アレが全てでは無いという事か。
王は更に言った。
「そして、デネブよ。任を解いたお前に次に任せる仕事がある。」
「ハッ!このデネブ。粉骨砕身。王より賜った使命を全うさせて頂きます。」
「ん。よく言った。
では、
此度の一騎討ちの功績を評価し、お前には貴族となって地域の為にその身命を賭して貰う。」
「「「へ?」」」
その場に居た誰もの口から間抜けな声が出た。
「王…………それは一体……?私はそのような位を賜るようなことは一切しておりません。
何かの間違いでは?」
目を瞑ってデネブのその発言を聞く王。
「んー?
私は間違いなど言っておらんぞ?
今回、お主はアーマスの急な侵攻に対し、冷静な判断を下して10日の時間を稼いだ。
どころか単独でアーマスの女王を降し、死者を出す事無く、事を荒立てずに収めて見せた。
…………………下手をすれば戦争だった本件を一騎討ちにし、自分は血に塗れながらも結局死人を出さんかった。
更に、だ。
アーマスの国から密使が私の元に来た。」
その発言は玉座の間に居た全ての人間を震撼させた。
アーマスはブラックボックスとでもいうような鎖国で、密使など来る訳が無いのだ。
大事件と言えよう。
しかし、大事件は密使が来たことで終わらなかった。
「曰く、かの国の女王殿が我が国との交流。つまり、同盟を望んでいるそうだ。」
さらに衝撃。
誰も彼もが目を丸くし、王の発言に動揺していた。
「沈まれ。
当然、私は快諾した。
かの国と繋がりを持てる国など、私は他には知らん。
が、
私は気になった。
何故?この前まで侵攻せんとしていた国が同盟などを考えたのか?
とな。」
普通は罠だと思うのが自然。というか、何を企んでいるか気になる。
「曰く、かの国の女王が『
降した男。つまり。かの女王を負かした男。
「戦争を止めた。どころか同盟を結ぶ切っ掛けを作った男を砦の長程度に止めるのは惜しい。
しかも、密使曰く、猛獣等の獣災は此方で対処するために、もう来ることは無くなるそうだ。
故に、お前の砦の意味合いが変って来る。
獣を阻む壁から人をもてなす入口へと。な。
と、いう訳で砦の隊長から領土の隊長にジョブチェンジして貰うぞ。」
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>読んで下さる皆様へ
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