ランデメンド王国VSアーマス

デネブは心奪われていたが、自身の責任と守る者達を思い出して我を思い出した。


「お待ちください!」


 そう言って見張り台から飛び降りる。


 「アマゾネスの女王レリル様。お待ちください!」


 女王レリルがこちらを睨みつける。


 「お前……何だ?」


 明らかに私を敵として認識している。


 「女王レリル様。私この砦の責任者をしておりますアーノルド=デネブというものです。」


 「知らん、肉の名前等知らん。」


 「そう言わずに聞いてください。女王レリル様。何故ここにいらしたのかお教え下さい。」


 「言った筈だ。弱い者を淘汰しに来た。弱い者よ。我らが血肉になることを光栄に思え。」


 「女王レリル。お待ちください!女王ともあろう者が何故今になって我らの国へと……」


 「五月蝿い!何度も言った。弱者に用は無い。それとも…………お前が我を止めるのか?」


 女王は爪を構えると今にも飛び掛かろうとしている。


 背後には猛獣。その合間に彼女同様にアマゾネスが待機している。








到底不可能だ。


 自分一人で喰い止められる戦力ではない。


 どうする?住民避難には時間がかかる。


 話し合いに応じてくれる様子も無い。


 どうする?


 どうすれば皆を助けられる?
























 「隊長!!」


 そんな思考を打ち破ったのは見張り台から放たれたバリスタと声だった。


 戻って来た部下の一人が私の劣勢を察してバリスタの支援をしてくれたのだ。


 しかし、バリスタの矢は女王の爪に虚しく叩き落とされてしまった。


 「ほぅ………、お前たちは肉ではないと言いたいのか?」


 バリスタの矢。


 猛獣用のそれは当然人間が受け止められる筈の無い物だ。


 それを叩き落したという事は………


「お前達!逃げろ!」


 叫ぶ。


 彼女とは敵対したくは無かった。


 しかし、彼の気持ちは嬉しかった。


 私を守ろうとしてくれた。


 しかし、それが結果的に彼の命を危険に晒すことになってしまった。


次の瞬間女王の眼は見張り台の上の彼を捉えていた。


 それはまるで獲物を狙う獣の様だった。


 「良い……私が確かめてやろ 」


 「勝負を!」


 獣の双眸は狙いをこちらに変えて来た。


 背筋が凍る。手足が脈打ち、痛い。


 しかし、


 しかし、


 部下を殺させる訳にはいかない。


 これから結婚して幸せな家庭を築こうとしている彼の妻を悲しませる訳にはいかない。




 デネブの思考は疾走していた。


 後ろに居る無辜の民と部下を守る為にのみ彼の頭脳は使われていた。


 そこに、自分は含まれていなかった。






 「………私と女王の一騎打ちを!


 我々が弱き肉で無いという事を示す機会を与えては頂けないでしょうか!?」


 「………ほぉ、お前が私と………………フフフ………」


 女王は私の事を見て笑った。


 それは微笑みでは無かった。


 弱者が身の程を知らずに強者に牙を向けることを冷笑していた。






 「…………良いだろう!お前の相手をこの私自らがしてやろう!!」




 ザワザワザワザワ




 沈黙していた他のアマゾネス達がざわつき始めた。


 「五月蝿い!文句がある奴はここで肉にする!」


女王の一喝


 それがざわついていた屈強そうなアマゾネス達を沈黙へと引き戻した。


 「………勝った者が負けた者に隷属する。…………それで良いな?」


 「………構いません。」


 またも笑うと彼女は点を仰いで吠えた。




 「ここに アーマスの女王たるこの私!レリルと、王国の愚者たるアーノルド=デネブとの一騎討ちを十日後に行う事を宣言する!


 その間、相手を害することを女王の名のもとに禁ずる。


 もし、十日後の勝負に逃げた者が居れば女王の名のもとに我が配下を以て屍山血河を築こうぞ!!」






 逃げた者が居れば………か。


 自分が逃げない事前提。私が逃げる事を見越して……か。






 私には結婚は無理そうだな。





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