没回 不純異性間交流

 ある土曜日のお昼過ぎ。

 僕は覚悟を決め、この場所へと来た。

 チャイムを鳴らすとすぐに……愛しの恋人が出迎えてくれた。


「どうぞ」


 神凪月夜は動揺している。顔を紅くして……余計なことは言わない。かわいい。

 しかし、ミニスカートに薄着のブラウスとすでに準備は万全のようだ。

 神凪家の中に入ってコートを脱いで、カバンを机の上に置く。今日必要な物はただ1つのみ。

 それだけをポケットに入れた。


「星矢は?」

「バイトに行ったから大丈夫だと思います。今日は夜遅くまで帰ってこないはずです」


 月夜は手招きして、自分の部屋に僕を迎え入れる。

 この部屋に入るのは三度目だな。僕は椅子に座り、月夜は綺麗に整われたベッドへ座る。


 ここまでの準備をすれば誰もが分かるだろう。そう、今日……僕と月夜は身も心も結ばれるのだ。

 この前は僕の家で結ばれようとしたがクソ妹が邪魔をして何も成果はなかった。

 外でホテルを使おうにもやはりお金と高校生とバレた時がネック。まぁ私服なら大丈夫と思うけど。

 あとは彼女の家しかない!


 今日は邪魔者もいない。

 交際を初めて一ヶ月。そろそろ次のステップに進みたい。性欲がまずいのではない。あくまで恋人同士の営みなのだ。

 月夜にそれ前提の話をしており、了承してもらっている。


「なんか緊張しますね」

「ふふ……ふふ……緊張具合なら僕は負けないぞ」

「太陽さん、ずっと震えてますもんね」


 かっこつけているが……さっきから震えが止まらない。

 みんなどんな気持ちで童貞卒業したというの……? 誰か教えてよぉ!

 月夜はふぅと息を吐き、僕の手を引っ張って僕をぐっと抱きしめてベッドの上へ降ろす。


「私もちょっと怖いので……しばらくこうさせてください」

「本当はリードしていかなきゃなのに……ごめんね」

「いいじゃないですか、初めて同士なんですし。失敗しながらでいいと思いますよ」

「……そうだね。よし……もう大丈夫だ」


 今度は僕から月夜を抱きしめて、ベッドへと倒れ込んだ。決して広くはない4畳の部屋の中。おしゃれな音楽も流れることもない無音の部屋で僕と月夜だけがそこにいる。

 ベッドの上で僕は月夜と抱きしめる。そのまま……キスをした。

 遊園地でも僕の家でも……互いが盛り上がらなければ先へは進めない。

 月夜に喜んでもらえるように、楽しんでもらえるように、笑ってもらえるように……僕は力いっぱい、抱きしめてキスをした。


「かわいいよ、綺麗だよ、大好きだよ」

「はぁい」


 耳元でずっと呟き続ける。

 残る両手は左手で月夜の胸部に触れ、右手で月夜の体を少しずつ撫でていく。


「んっ……うん……」


 月夜から何やら我慢してる声が聞こえる。多分くすぐったいんだろうな。

 このまま両脇腹を力いっぱい揉んで悶絶させても楽しいが……それは後回しだ。まず1回……まず1回なんだ。

 次第に声も艶っぽいものに変わっていく。そろそろ行けるのか……。わからん。でも行くしかない。

 月夜のブラウスを脱がし、ミニスカートもゆっくりとはぎ取っていく。

 これは……初めて月夜に狩られたそうになった時に付けていたみずいろの下着だ。

 緊張で手がまた震えてきた。……そんな僕の様子を月夜は気づき……両手で僕の顔を包み、胸元へと近づける。

 水着とも違う、誕生日で一緒に温泉に入ったあの時とも違う。

 青のブラジャーに包まれた……大きな胸に顔を寄せた。


「太陽さん……」


 そして顔を上げ、僕は月夜にキスをする。舌と舌をくっつけ合い……どこまでも優しいキスをする。

 僕も服を脱ぎ、下着姿となる。ポケットに入れていた避妊具も取り出す。昨日めっちゃ練習してきた!


「綺麗だ……月夜の体は本当に綺麗だ」


 傷1つ、シミ1つのない真っ白な体。誰にも見せたことはないこの完璧な体を僕はどう取り扱ったらいいのだろう。

 月夜のブラジャーを外し、その胸部に直接触れた。

 とても大きて柔らかく、体温が上がっているのかとても暖かで……その両手の感触はいつまでも忘れることはできない。

 もう何も邪魔されることはない。僕と月夜の営みを神だって……もう邪魔することなんてできないんだ。


「月夜……行くよ!」

「……はい!」


「お、月夜悪い。店の水道管が破裂したせいでしばらくバイトが休みになった。晩飯はい……」


 突如開いた扉から……入ってきてはいけない……最悪の人物が僕達の前に現れたのだ。

 そして目が合う。

 その男、神凪星矢には何が見えただろう。

 星矢視点でものを見るのであれば最愛の妹が上半身裸になって、ベッドで寝ており、その上から覆いかぶさって半裸の親友がその妹の両胸を鷲掴みにしている感じか。

 星矢は止まっていた。僕も正直止まっていた。いや、手だけはしっかり動いていた。


「あぁん」


 月夜が艶やかな声を上げる。


「うわあああああああああ、親友と妹が……セッ○スしてるううううううう!」


 星矢は部屋を飛び出して、そのまま家を飛び出す。

 僕と月夜はびっくりして、ベッドから飛び降りる。

 星矢が隣の家のドアを叩く音がする。


「な、何……どうしたの!?」

「水里! 水里ぃぃ! 太陽と月夜が……セッ○スしてるううううううう!」

「はぁぁぁぁああ!? 今、拡散するから、ちょっと待ってぇ!?」

「まだやってない!!」

「もう最低ぇぇ、やだあ!」



 何だろう。

 どうしてこんなにうまくいかないのだろう。半裸の僕と月夜は項垂れるしかなかったのであった。

 そしてその後……。


「馬鹿野郎、狭い家でやってんじゃねぇ、ホテル行け、ホテル!」

「あのね……、このアパート壁薄いんだからホント勘弁して。いや、ほんと分かって」


 星矢と水里さんにガチで説教されてしまったのであった。




 ※小説家になろうではさすがに厳しいと思い、本編に入れませんでした。自分は15禁レベルだと思っているのですが……。

 お蔵入りももったいないので投稿させて頂きました。

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