第230話 初日終了
2学期最後の日の夕方。
俺達は無事クサズリ砦にたどり着いた。
道中は思った以上に大変だった。
オマーチ組3人が予想以上に色々お買い物をしてしまったのである。
状況や理由はわかる。
この3人は普段、安全の為にあまり外に出してもらえない状態。
それがいきなり南部最大の商業都市に買い物に来てしまったのだ。
楽しくて仕方ないのはよくわかる。
しかも3人は蒸気自動車のタイヤの件でお金に余裕がある状態。
更に世話好きなミド・リーが色々な店を案内して回ってしまった結果。
移動魔法なしでは時間に間に合わない位お買い物してしまった訳だ。
途中で今回の旅行に必要ない荷物はそれぞれの寮へと移動魔法で転送した。
ちょっと可愛い服だとかアクセサリーとか。
タカス君が購入した百合な漫画十数冊とか。
何せ改装したとは言え元は8人乗りのつもりで作った蒸気ボート。
14人乗りだと結構狭い。
操縦席がシモンさんで他は2~3人ずつ一列だ。
しかも色々荷物を詰め込んでいるし。
そんな感じでやっとの思いで砦に到着。
当座必要な荷物等をいつもの荷車に載せ、坂道を押して上って上の入口へ。
下の船着き場にいた番兵から話がついていたらしく、ヨーコ先輩がちょっと受付で話すだけでカギを3つ渡される。
「今回は人数が多いので3部屋借りた。とりあえず前回と同じ部屋に集合して寝るときに各部屋にわかれることにしよう。まずは大部屋に荷物を入れて夕食の支度だ」
「今日は時間が無いから簡単なものにしますよ」
もう外が暗くなりかけている。
この世界は夜は早い。
灯火魔法で一応明かりは得られるけれど。
今日はユキ先輩とナカさんの2人でささっと料理。
ささっとの割にはビーフシチューとキッシュなんて凝った料理が出てきた。
せいぜい
「何故こんなに味が染みたのをこんな短時間で作れるんですか」
「味を調えた後、高熱高圧にしてその後低温低圧にしてやるんです。そうすると味が一気に染みます。野菜が型崩れしないよう注意が必要ですけれど。お肉だけはそれでは柔らかくならないので薄切りにしてごまかしています」
「キッシュは魔法で全体を加熱すれば簡単ですしね」
なるほど。
日常魔法でも使い方次第でかなり素早く美味しく作れるわけか。
「ずっと川で風を受けていましたし、暖かいものが美味しいです」
「でもボートで飛ばすのも楽しかったですけれどね」
「私はちょっと怖かったです」
シモンさんの運転は相変わらずで……まあいいや。
終わったことだ。
今度の移動の事は今度考えればいい。
「それで明日朝は買い出し、明日夕方から魔獣狩りだ。今年はもう色々出てきているらしい。今のところ
「
「まだ出ていないと言っていたけれどな。でも今年は魔獣そのものは多いらしい。油断はしない方がいいだろう」
「魔獣狩りなんて初めてです」
「私は2回目なのだ」
「ここはコイより遥かに魔獣が多いぞ。
「
「でも獲ってたその日は肉は食べられないので内臓肉中心ですね」
「でもモツが美味しいんだ、実は」
作戦会議の筈だったのだがいつのまにか食欲の方が前に出てきている。
でもまあ明日は買い物と魔獣退治第1回。
魔獣退治は夕方からというのが通じれば問題ないか。
明日は買い物で
買ってきた
色々充実した日になりそうだ。
充実しすぎて大変な一日にならなければいいけれど。
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