第220話 何故こうなるんだと
翌日も全く持って快晴・無風。
相変わらず熱気球の整理券は配布開始早々に無くなった。
アニメ上映も整理券を作ろうか考えたけれどこっちは中止。
ただし本日は午後1時から上映開始できるように準備する予定だ。
事前に並んでいる人の人数次第だけれども。
今日は俺、ミド・リー、フールイ先輩の3人で熱気球の前半当番。
タカス君、フルエさん、ナカさんが熱気球後半当番。
シンハ君とヨーコ先輩とシモンさんが展示室当番。
アキナ先輩とユキ先輩が上映当番だ。
本日は平日で一般のお客さんは少ない筈。
でもやっぱり俺達の方は忙しい。
結局安息日と同じように熱気球当番を交代し買い食いして教室へ行く。
廊下には既に列が出来ていた。
おいおいと思い教室の展示室側から入る。
既に向こう側は上映会を実施している状態だ。
展示室のシンハ君に聞いてみる。
「昼からだよな、本当は」
「その予定だったんだけれどさ。いつのまにか列が出来てどんどん伸びていくから仕方なく始めたんだ。今はヨーコ先輩とシモンさんでやっている」
おいおい。
「何時くらいから始めたんだ?」
「熱気球の整理券が全部なくなった後、教室へ戻ってすぐだ。列が2つ先の教室の方まで伸びていたから仕方なく始めたんだけれど、全然列が減らないんだよな」
何だかな。
「当番はどう回している? 何なら交代する」
あの幻灯機の取り扱いは簡単だ。
① 絵が描いてある紙入りの箱を上側にセット
② 最初の1枚をガイドに合わせる
③ 下に空の箱をセット
④ ゼンマイを3回半巻く
⑤ 魔力を通して明かりをともし、ゼンマイ横のスイッチを入れる
⑥ 下の箱には次にそのままセット出来るように絵の描いた画用紙が収納される
全員で何度か試したのでうちの会員なら誰でも操作できる。
「今は展示室の3人のうち2人で回している。アキナ先輩達とも連絡済み。だから問題は無いし大丈夫だ」
それならまあいい。
ここでミド・リーとフールイ先輩も話に加わる。
「でもこの調子で続く事は無いよね。明後日あたりはガラガラになるんじゃない」
「だと楽だけれどさ。何回も見に来ているのもいるらしい。さっき出るときに話しているのが聞こえたんだけどさ。今の上映が2回目でまた並ぶとか言っていたし」
うわっ。
リピーターがいたか!
「私達も練習と称して何回も見たしね」
「気持ちはわかる」
気持ちはわかるがこっちは大変だ。
「でもまあミタキは飛行機当番もあるし他のところも回ってきた方がいいかもしれないね。高等部や研究院の展示なんかも今後の参考になるだろうし」
確かに見てきたい気持ちもある。
「何なら3人でそのまま回って……くるほどの時間はもうないか。でも飛行機飛ばした後はある程度時間あるだろ。その時にでも回ってくればいい」
「フールイ先輩やミド・リーも学会があったよな」
「私は明後日」
「私もそうよ。でも午後2時だし何とかなるんじゃないかな」
「その辺は後に検討」
「そうね」
上映が終わったらしい。
向こう側からどさどさと人が出てきた。
何か昨日以上に詰め込んでいるように見えるのは気のせいか。
鑑定魔法では気のせいじゃない、5人分更に詰めていると出ている。
「じゃシモンさんと交代してくる」
シンハ君が向こう側へ消えた。
俺もそろそろ模型飛行機実演の支度をしないとな。
でも昨日あれだけ説明したし、今日は見物客も少ないかもな。
そんな事を考えながら模型飛行機の状態を鑑定魔法で確認。
シモンさんが廊下側から戻ってきた。
客を定員分入れた後列を整理して、それから戻ってきたらしい。
「シモンさんお疲れ。何なら休憩してきて」
「ごめんごめん。でもそれじゃちょっと昼食買ってくるね」
何か昨年より大変だよな。
そう思いながらミド・リーと展示室番をする。
返ってきた自転車を整備したり、また貸し出したり。
三輪車は人気で返ってくるとまたすぐ次を貸し出す状態。
それどころかMTBも既に乗りこなしている奴がいるようだ。
俺は乗れずに諦めたのだけれど。
中にはどうしても欲しいと言う奴もいる。
でも市販予定なんて聞かれても答えられない。
タイヤがどれくらいで手に入るかわからないから。
「来年はもう少し展示を絞ろうか」
「でもあの絵が動くやつと熱気球はもう外せないような気がするわ。だったら絞っても大差ないような気がする」
うん、悲しいかなミド・リーの言う事は正しい。
何故こうなるんだとうと思いつつも展示室番を続ける。
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